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学校の立て直しは「授業づくり」から 新年度、区の研究協力校に

4面記事

管理職・学校経営

東京・千代田区立麹町中学校 中
「自律」への誤解も 何をしてもよい
単元テストの在り方など 生徒会と模索 試験範囲を明示、計画的な学習求める

 前回に続き、千代田区立麹町中学校の現在の姿を紹介する。

 堀越勉校長が本年度に着任して気になったのは、昇降口の各所にごみが散乱し、生徒の靴がバラバラに置かれていたこと。教職員に尋ねると、昨年度までは、土足のまま教室で過ごす生徒までいたという。学校全体での集会では、生徒は整列せず、思い思いの場所でしゃべっているが、教職員はこうした姿を眺めながらも声を掛ける様子もなかったという話まで聞こえてきた。
 「自律」を優先するあまり、何をしていてもよいという感覚が根付いてしまったのだと感じた。
 「教職員の中には、最初は違和感を覚えた者がいたはず。でも、生徒自身が気付くまで待ち、指導はしなくていいという価値観がどこかに残り、それに慣れてしまった。指導しなくてよい状態というのは、やはり『楽』。徐々に生徒も教職員もモラルが低下してしまったのではないか」
 小学6年生の保護者を対象にした学校説明会の場では、現状をできるだけ正直に伝えるように心掛けた。
 堀越校長は、「麹町中に行けば、全てがうまくいく」という誤解が浸透してしまっているのではないかと危惧し、「今は学校全体を『整えている』最中。もし、高学年の段階で不登校が続いているようであれば本校はお薦めできない」と語った。「他校では、組織的な支援体制が確立している所もあり、より適切な支援が得られる」とも伝えた。
 他にも、朝学習の「麹中スタディ」(30分)で寝ている生徒がいる、最大で25分のテストしか経験していないため50分のテストに耐えられず寝始める生徒がいる、45分授業を維持するために土曜日授業を行うものの生徒の2割以上が休むことがある―といった課題も見えた。
 テストで25分を過ぎると寝てしまうのは、実際に高校入試でも見られ、高校側から「試験中に寝る人を合格させるわけにはいかない」と告げられたそうだ。
 堀越校長は、「目の前の生徒の実態に課題があれば、改善するのが校長の役目。堀米孝尚教育長はよく『現状維持は後退である』と語っているが、なすべきことを積み上げる他ないと改善策を練ってきた」。
 もちろん、この間、工藤勇一校長時代の取り組みを維持してほしいという声が一部の関係者から寄せられることもあった。堀越校長は、「当時の生徒にとって、当時の教育がどうであったかは分からないが、今の生徒に合致しない部分があれば、それは適宜『整え』なければならない。仕組みに原因があるのであれば、仕組みを変える他ない」と理解を求めてきた。
 単元テストについては、生徒会と意見交換しながら、今後の在り方を模索している。これまで最長で5週間程度、単元テストが続くこともあった。アンケートを行ったところ、連日のように行われるため、生徒は集中できておらず、精神的に負担になっていることが分かった。
 3学期からは、単元テストの2週間前に、これまで示されていなかった「テスト範囲表」を配布。「計画を立てる→勉強する→振り返る」のサイクルを身に付けてほしいと訴えた。計画通りにできたら自分をしっかり褒める、保護者にはテストへのモチベーションを維持できるよう温かい励ましをお願いした。
 単元テストまでの2週間は、朝の「麹中スタディ」の時間のテストは原則として行わないことにした。また、最大で25分だったものを50分に変更している。
 実施後、生徒会と改めて議論し、継続的に改善していく予定だ。
 今後、特に力を注ぐのは授業研究。来年度から、長らく受けてこなかった区の研究協力校になる。テーマは「授業で学校を立て直す」というものだ。
 工藤校長の時代に始まった各種の教育実践についても、名称を含め見直していく。特色的な取り組みとして広く紹介された活動も、実施のねらいや教育課程上の位置付け、相互の関連性などが現在の教職員に引き継がれておらず、不明瞭になっているためだ。
 3年間を見通しながら、生徒の力を着実かつ段階的に高められるものに改めていく。

管理職・学校経営

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