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スクールリーダーにとって大切な10のこと 崖っぷち校長奮闘記

14面記事

書評

古川 光弘 著
平時に通じるコロナ下の学校づくり

 コロナ禍が過ぎ、学校は平常な姿を取り戻してきた。一体、コロナ禍の中でどのような学校づくりが行われたのか。本書はそれに応える他になかなか類のない貴重な報告である。著者はコロナ禍の中で、初めての中学校校長を体験する。コロナ禍の中学校の現実をまず次のように書いていた。
 <部活動の時間は制限され、大会も中止。歌うことも制限され、生徒が楽しみにしている行事も軒並み中止や延期の策がとられる>
 そこでコロナ禍の一斉休業が終わった後、著者は校長として何をしたのか。校長室の開放である。職員のみならず、生徒たちにも開放した。そして、少しずつ生徒の訪問者が増えていく様子が写真とともに紹介されている。さらに教職員には「職員一致団結して、苦楽を共に乗り越え、悲しみや楽しみを共有しながら、素敵な学校にしたいと思っています」と呼び掛けていく。平時の学校づくりでも大切な考え方である。
 著者の学校づくりのキーワードは、「熱いハート」であった。このキーワードを著者は生徒や保護者、職員に向けて発信し続ける。
 コロナ禍で、保護者との交流も制限される中、それでも数少ない機会を通じて、保護者に訴える言葉を大切にする。平時であろうとコロナ禍であろうと、校長の武器は言葉であることを本書は、雄弁に示してくれる。
(2420円 東洋館出版社)
(庭野 三省・元公立小学校校長)

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