都の教育課題や麹町中の現状報告 中友会研修会
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学校挙げ授業研究、雰囲気変化
東京都の公立中学校の退職校長で構成する中友会(草野一紀会長)は12月14日、都内で研修会を実施した。研修会の講師は堀越勉・東京都中学校長会会長(千代田区立麹町中学校校長)=写真=で、「東京都の中学校教育における課題」を中心に現状を語った他、勤務校の麹町中の学校経営についても紹介した。
堀越・東京都中学校長会会長が講演
堀越会長が同校に着任したのは令和5年度。堀越会長によれば、同校は長く「理想の教育を具現化した学校」と見られてきたが、対外的に発信されていた話と実態は乖離しており、多様な課題と向き合わざるを得ない状態だったという。そのため課題と解決策を学校便りなどで広く発信してきた。
本年度に入ってから、全国各地の校長から「麹町中の名称を冠した元校長の著書の通りに学校改革を進めてきたが、学校が荒廃してしまった。現実の麹町中はどうなっているのか」といったSOSの相談が増えているという。講演や視察の受け入れを積極的に行い、正確な情報を発信してきた。
東京都中学校長会会長の立場で、全日本中学校長会や関東甲信越地区中学校長会、大都市中学校長会などの大会に参加すると、やはり同じような質問を受けるため、実情を丁寧に説明してきた。各地の校長からは、「本に書かれたような学校経営を実施してほしい」という要望が、教育委員、議員、教職員等から寄せられて困っているという話も繰り返し届いている。
今回の講演では、当時から発生していた、生徒による施設・設備の破壊行為や、学力低下、不登校の増加など、学校が荒れてきた状況を、データや写真を映し出しながらまとめた。
堀越会長が感じた同校の最大の課題は、「通常の授業を軽視する雰囲気があり、教員が育つ場になっていなかった」こと。当時の教員たちからは、元校長から「子どもを指導してはならない」「学習指導案は必要ない」と言われていたため、指導を放棄せざるを得なくなり、授業研究の場も制限されていたと聞いてきた。現在は区の研究協力校となり学校全体で研究に当たるようになった他、区の教育研究会にも全教員が参加し立て直しを図っている最中。「内外に学校を変えるという本気を示す」ことで、全体の雰囲気が大きく変わりつつあるという。