LGBTQ 学校の理解進まず 民間調査
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性的少数者を支援する「NPO法人ReBit」が2日に公表した調査結果で、LGBTQの中高生の9割が、学校で困難を感じたりハラスメントを受けたりしていたことが分かった。教職員の言動を理由とした困りごとは6割を超えた。関係者は教職員個人の意識に頼ることなく、全体が理解を深められるような制度を整える必要があると指摘している。
調査は2~3月、12~34歳のLGBTQの当事者4925人(有効回答4733)に実施した。回答者は10代が最も多く37・8%だった。
学校での様子について、中高生の89・5%が「この1年に学校で困難やハラスメントを経験した」と回答。63・8%が教職員によるものだったという。
教職員の言動で感じた困りごとで最も多かったのが「不要な男女分け」(46・2%)。「自分や他の人がLGBTQではないと決めつけた言動」(30・1%)と「性別でふさわしい行動の決めつけ」(28・7%)が続いた。
LGBTQの調査では、小学校で性的指向や性自認を学んだ中学生が少なかったことも分かった。中学生の84・2%が異性愛について学んだと答えたが、性的指向の多様性について学んだのは26・3%に留まった。
LGBTQや多様な性について学びたい時期を尋ねると、約半数が「現在の教科書に記載されている(小学校中学年)より前」と回答。小学校入学前から必要とする声も3割あった。
性的少数への対応を巡っては「LGBT理解増進法」が令和5年に施行。国や自治体、企業による理解促進が努力義務となった。令和4年改訂の生徒指導提要には「性的マイノリティに関する課題と対応」が記載された。
同法人代表の藥師実芳さんは「調査結果からLGBTQに対する教員の理解が進んでいないことが改めて分かった。当事者の子どもたちが安心して学校生活を送れるように、教員養成課程で学べる機会を設ける他、教育委員会が研修体制を整えてほしい」と語った。