「働く姿」を見て触れて感じて、将来を切り開く力を養う
8面記事
アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」(主催=(株)アイデム)は、「子どもたちが『働く』ことについて考えるきっかけにしてほしい」という思いをこめてスタートし、今年で20回目を迎える。キャリア教育の一環として取り入れる学校も増え、2024年は全国から7400点を超える作品が寄せられた。このコンテストにどんな教育的効果を期待し、どのように取り組んでいるのか、中学校の部で団体奨励賞を受賞、準グランプリでも受賞者を輩出した神戸市立福田中学校の瀧澤雅教諭に話を伺った。(以下敬称略)
―御校ではキャリア教育の中に「はたらくすがた」を取り入れているのですね。
瀧澤 神戸市では中学2年の秋に5日間、「トライやるウィーク」という職場体験活動を行っており、その一環として「仕事」や「働くこと」に関心を持ってもらうため、「はたらくすがた」に参加させてもらっています。昨年が2年目になります。
本校のキャリア教育では、自分の未来を自分で切り開く力をつけてほしいという思いから、「総合的な学習の時間」で教科横断的な取り組みをしています。例えば私の担当の英語科では、市内のALT(外国語指導助手)の方々に来てもらい、コミュニケーションを取りながらほかの国の文化や風土を理解する勉強をして、世界に目を向けて興味関心を広げています。
―人と接して理解する体験が大事ということですね。
瀧澤 今の子どもたちは昔に比べて、家族以外の人とコミュニケーションをとる機会が少ないですよね。特に中学生は思春期ならではの照れもあり、「はたらくすがた」でも、被写体は声をかけやすい親や親戚の方がやや多めです。友達と一緒に撮影に行ったり、担任をモデルにしたりする子どももいました。ただ、大事なことは、まずは経験することです。どんな作品になったかという結果より、自分の目で見て仕事の雰囲気を感じることに価値があり、それが自分の将来の選択肢を広げることにつながると思っています。
―子どもたちからの感想はいかがでしたか。
瀧澤 本校では応募作品をコメントとともに画用紙に貼って秋の文化発表会で掲示し、全校生徒、保護者に見てもらっています。子どもたちは「仕事って大変そう」「笑顔が素敵だった」など、肌で感じた「仕事」をシンプルに表現してくれている印象です。また、親を被写体にした子どもは「普段とは違う一面を見ることができた」とか、「お客さんと関わるときは笑顔が大事なのだな」など、「働く姿勢」も感じ取ってくれています。
働くイメージを広げ、進路を考えるよいきっかけに
―プリントした写真を一堂に見るよさがありますね。
瀧澤 いろいろな仕事の存在を知ることで、働くイメージを広げられるようです。夏休み明けに、「トライやるウィーク」で体験したい業種などについてアンケートを取るのですが、中には撮影した職業に興味を持って希望する生徒もいます。今まで関わったことのない大人と丁寧な言葉で話をするのも貴重な体験で、「トライやるウィーク」への自信にもつながります。「はたらくすがた」は、自力で将来を切り開く第一歩になっていると思います。
―進路を考えることにはつながっていますか。
瀧澤 中学校ではどうしても受験が優先されがちですが、志望校に入るのがゴールではなく、興味のあることや長所を活かせる仕事に就いて社会に出て行くことが最終的なゴール。「仕事あっての進学先」という視点で学校選びをしてほしいと伝えています。そのためにも、実際に働く姿を見て触れて感じることが重要です。個人で職場見学を実行するのは大変ですから、「はたらくすがた」の課題は進路を考える上でもよいきっかけになりますね。「撮影」という表現形態も取り組みやすいと思います。
―子どもたちは気負いなく取り組んでいたでしょうか。
瀧澤 はい。夏休みの課題にしたことで余裕を持てますし、1つ上の学年の作品を文化発表会で見ているので、不安な様子もなく前向きに取り組んでくれました。僕も写真が好きでよく撮るのですが、斜めから撮ったり、後ろ姿を撮って「今から仕事が始まる」ことを表現したりと、アングルや被写体の切り取り方に感心してしまう作品がたくさんありました。
このような「見て触れて感じる」経験は、何かしら心に残って、いろいろな選択の助けになるはずです。今後も「はたらくすがた」を活用していきたいと思います。
第20回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」応募要項
テーマ
「はたらくすがた」
あなたの身のまわりで働く大人の姿を撮影してください。
応募資格
小学生・中学生・高校生(学校やクラス単位での応募も大歓迎)
応募方法
専用応募用紙に必要事項を記入し、写真を貼りつけて応募。
ホームページ(https://www.aidem.co.jp/csr/photocontest/application/index.html)からのweb応募も可能。
応募締め切り
9月17日(水)(当日消印有効)
学校応募担当の先生へ
・応募用紙は必要部数を送ります。
・記入・貼り付け面のみのコピーも使えます。
・学校で取りまとめて応募の際は、応募者リストも送付ください。
・応募者リストはホームページよりダウンロードできます。
応募に際しての注意事項
・必ず、写る方に撮影と応募の許可をもらってください。
・応募作品は返却しません。
・入賞候補者には選考途中で元データを提出してもらいます。デジタルデータ・フィルムは入賞発表時まで必ず保管してください。
・入賞作品の著作権は撮影した方に帰属します。ただし、受賞後5年間は主催者(株式会社アイデム)が優先して使用します。
・入賞作品はアイデム写真コンテストの広告及び広報物に使用します。このため受賞した方は主催者が各媒体で作品を使用することをご了承ください。
応募先・問い合わせ
〒160-0022
東京都新宿区新宿1―4―10
アイデム写真コンテスト事務局
Tel=0120-938-989(受付時間 平日10:00~17:00)