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一刀両断 実践者の視点から【第685回】

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論説・コラム

特別支援学級の担任業務

 今回の教職員の処遇改善に関連して、「特別支援教育に携わる教員の『給料の調整額』の引き下げ」が取りざたされている。特別支援学級の担任は、普通学級の担任よりも給料が高く設定されている。
 そのため、退職金を高くすることを見越して、退職直前に特別支援学校へ異動する者もいる。
 支援学級の担任配置にあたっては、さまざまな事情を考慮しなければならない。本人に就任の意思があればよいが、そうでない場合は説得が必要になる。
 担任する児童生徒の人数は少なくても、一律には扱えない。予測不能な言動が見られることもあり、免許を持たないまま担任すれば、対応すべき内容は多岐にわたり、並の専門性では通用しない。
 先日、特別支援学校から道徳の模範授業を依頼されたが、参考となるような指導案は見当たらなかった。
 「個別の指導計画を作成して対応するように」とはよく言われるが、形式的には作れても、その中身の専門性には疑問が残る。
 このような領域に担任として関わるには、相応の覚悟が必要だ。
 かつて、特別支援学級の講師経験を活かし、採用後もその経験を基に専門性を発揮してほしいと約束して採用した新採用者がいた。ところが、後になって「そんな約束はしていない」と言われ、話が反故にされたことがある。こうした新採も実際に存在しているのが現状である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)

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