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大学入学共通テスト 問題分析と指導のヒント 東進(1)

10面記事

その他教育活動

設問では外来語に関する意識の比較を示すグラフが付けられた

実用文新設、複数素材を読み解く
国語

 令和7年度から大きく変わった大学入学共通テストについて、予備校の視点から分析する。

 令和7年度の大学入学共通テストでは、従来の近代以降の文章2問・古典2問という構成から、近代以降の文章が1問追加され、全体で計5問構成となった。各大問の内訳は、第1問が論理的文章、第2問が文学的文章、第3問が実用的な文章、第4問が古文、第5問が漢文であった。試験時間は80分から90分に延長されたが、配点の200点に変更はなかった。各大問の配点は、第3問が20点でその他の大問は45点だった。
 試験時間10分の延長はあったが、大問が一つ増えたことへのボリューム調整のためか、選択肢の数にも変化が見られた。ほとんどの設問で5択から4択に変更されたが、来年度以降も同様の傾向が続くかどうかは不明である。引き続き5択形式での練習も継続しておきたい。
 新設された第3問の「実用的な文章」とは「具体的な何かの目的やねらいを達するために書かれた文章」のことで、報道や広報の文章、会議や裁判などの記録、提案書などの実務的な文章、法令文、キャッチフレーズ、宣伝の文章などとされている。
 今回の問題では、Uさんという架空の人物が、「わかりやすい言葉づかいについて自分の考えを書く」という課題に取り組む場面が設定された。
 素材文として、まず外来語の言い換えを題材にして、わかりやすい言葉づかいの重要性についてUさんがまとめた【文章】が提示された。加えて、「外来語に関する意識調査」の横棒グラフや、外来語を言い換えるための手引書、「外来語に関する2002年と2023年の意識の変化」を示す折れ線グラフなど、内容や形式の異なる【資料】が三つ提示された。
 設問では【資料】から読み取れる情報として正しいものを選ぶデータや資料の読み取り問題や、【文章】をよりわかりやすくするために、どのように加筆・修正したらよいか、という論理的思考力を問う問題が主に出題された。どの設問も、設問文・【文章】・【資料】がそれぞれ何を示しているものなのかを正確に読み取れていれば、正解を導くことができる設問であったが、複数の素材文を行き来しながら、慎重に解答する必要があり、集中力と時間配分の工夫が求められる大問であった。
 対策としては、日頃から実用的な文章に慣れておくことが重要である。新聞や学術的な論文などの、特にグラフや図表から必要な情報を的確に読み取る訓練を積んでおきたい。実用的な文章の出題例はまだ少ないため、共通テスト型の模試を積極的に活用してほしい。
 (東進ハイスクール・東進衛星予備校 国語科)

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