日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

働く姿に接することは将来の夢を形づくる第一歩

7面記事

企画特集

2024年団体奨励賞受賞時の江口奈津季教諭

写真撮影から自分を支えてくれている仕事の存在に気付く

 アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」(主催=(株)アイデム)は、「子どもたちが『働く』ことについて考えるきっかけにしてほしい」という思いを込めてスタートし、今年で20回目を迎える。キャリア教育の一環として取り入れる学校も増え、2024年は全国から7400点を超える作品が寄せられた。このコンテストにどんな教育的効果を期待し、どのように取り組んでいるのか、小学校の部で団体奨励賞を受賞したリリーベール小学校(茨城県)の江口奈津季教諭(担当は3~6年生のアート専科)に話を伺った。(以下敬称略)

 ―全学年でご応募されたとのこと、どのように取り組まれたのでしょうか。

 江口 夏休みの自由課題の一つとして、撮った写真と応募用紙を休み明けに提出してもらっています。本校はキャリア教育に力を入れていて、普段の生活の中にも将来の役に立つ力を育む学びを組み込んでいます。「はたらくすがた」へのエントリーもその一環で、今、世の中で働いている人たちに目を向けてほしいという思いからです。校外学習で職場を取材させてもらうのはプログラムとして難しいところがあるので、とてもよい機会になっています。

 ―江口先生はアート専科(図画工作科)のご担当ですが、「はたらくすがた」をどのように指導されたのでしょうか。

 江口 絵画の授業では、描きたいものをどこにどのくらいの大きさで置くと全体のバランスがよくなるか、いろいろなパターンの作品を見せながら問いかけています。提出された「はたらくすがた」の作品を見ると、みずみずしい視点でダイナミックに被写体を捉えたものが多く、撮影した子どもたちは、心を動かされるものがあったのだろうなとつい見入ってしまいます。

 ―取り組んだ子どもたちに変化は見られますか。

 江口 写真を撮ったあとでおばあちゃんの畑仕事を夕方まで手伝ったことや、職場を見学させてもらって普段とは違うお父さんの一面を見て感動したなど、目をキラキラさせて語ってくれます。大人が一生懸命に働く姿は子どもたちにとって新鮮で、刺激的な体験になるのですね。中には、「お父さんのような警察官に」とか「お母さんのような看護師に」など、「○○になりたい」に「誰々のような」が付いて、夢が目標になっていく子どももいます。
 ご近所の大好きな食べ物屋さんなど、興味を持っていた人を被写体にした子どもは、さまざまな仕事の存在や自分を支えてくれている仕事の存在に気付き、「もっと知りたい」という気持ちが強まるようです。

 ―働く大人の姿に接することで、夢がより具現化するのですね。

 江口 本校では4年生以上は、必ず将来の夢を語れるようにしています。毎月恒例の誕生会ではステージの上からスピーチをして将来の夢を語ります。4年生で行う10歳の立志式では、将来の夢と家族への感謝の気持ちを文章にして次へのステップにしています。6年生の卒業研究では、自分の夢について調べ学習をして自身の課題を見つけてプレゼン。ここでも「はたらくすがた」への取り組みが活かされているようです。
 社会の中で自立して生き、人のために働ける人を育てるという教育理念のもと、リーダー教育にも力を入れており、目的をはたすためには人とどのように接するか、どうやって自分の気持ちを伝えたらよいかを学んでいます。このように人との関わりの中で自分を「表現」することも、キャリア教育にはとても大事なことだと思うのです。

 ―ご担当の「アート」は、まさに「表現すること」が主軸です。

 江口 「アート」は数値化されない能力で、感性から生まれます。写真は一瞬を切り取るアートですが、スマホ世代の子どもたちは気負いなく取り組めるようですね。「絵を描くのは苦手だけど、写真ならたくさん撮った中からとっておきの1枚が生まれるかも!」と、前向きに「はたらくすがた」に応募してくれる子どももいます。
 実は、職員室内でコンクールの作品集を回覧しており、同時代に働いている大人の「仲間たち」から元気をもらえ、自分も頑張らなければと襟を正される思いで眺めています。このコンクールは、私たち働く大人にとっても大きな存在になっています。

第20回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」応募要項

テーマ
 「はたらくすがた」
 あなたの身のまわりで働く大人の姿を撮影してください。

応募資格
 小学生・中学生・高校生(学校やクラス単位での応募も大歓迎)

応募方法
 専用応募用紙に必要事項を記入し、写真を貼りつけて応募。
 ホームページ(https://www.aidem.co.jp/csr/photocontest/application/index.html)からのweb応募も可能。

応募締め切り
 9月17日(水)(当日消印有効)

学校応募担当の先生へ
 ・応募用紙は必要部数を送ります。
 ・記入・貼り付け面のみのコピーも使えます。
 ・学校で取りまとめて応募の際は、応募者リストも送付ください。
 ・応募者リストはホームページよりダウンロードできます。

応募に際しての注意事項
 ・必ず、写る方に撮影と応募の許可をもらってください。
 ・応募作品は返却しません。
 ・入賞候補者には選考途中で元データを提出してもらいます。デジタルデータ・フィルムは入賞発表時まで必ず保管してください。
 ・入賞作品の著作権は撮影した方に帰属します。ただし、受賞後5年間は主催者(株式会社アイデム)が優先して使用します。
 ・入賞作品はアイデム写真コンテストの広告及び広報物に使用します。このため受賞した方は主催者が各媒体で作品を使用することをご了承ください。

応募先・問い合わせ
 〒160-0022
 東京都新宿区新宿1―4―10
 アイデム写真コンテスト事務局
 Tel=0120-938-989(受付時間 平日10:00~17:00)

企画特集

連載