一刀両断 実践者の視点から【第688回】
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高校生が学区撤廃に向け署名活動
公立高校の学区撤廃が一時、広がったが、千葉県では、学区制度を維持している。これに対し、現役高校生が探究学習の成果も生かし、撤廃に向け、署名活動を行っているという。
このニュースには注目したい。何故なら学生の立場なら当然の主張だからである。報道によると、生徒は医師を目指し、学区外にある高校を志望し、住所を親戚宅に移して受験と入学がかなった。
確かに学区制度は行政の立場や地域社会の維持の点からすると必要かもしれないが、納得できない人もいることだろう。
この生徒の訴えがどれだけ支持を集めたとしても、すぐに制度が変わる可能性は高くないだろう。ただ、その問題提起には十分な意義がある。教育の機会は平等であるべきであり、その点から見るとこの主張には道理が通っている。
教育が行政や政治の下位に位置づけられている現状では、大きな改革を起こすのは難しいかもしれない。しかし、仮に教育が司法・立法・行政に並ぶ柱として尊重されるようになれば、こうした変革も現実味を帯びてくるはずだろう。
この17歳の高校生の意思と行動には未来を感じるし、行動を起こす使命感に照らすと、優れた医師になる事は間違い無いだろう。この高校生には今後も長く注目したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)