一刀両断 実践者の視点から【第689回】
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教員の兼業
小・中学校で教員として勤務しながら、民間の新体操クラブで指導を行ってきた人物がいるという。最近、その人物が独立して運動教室を開いたと報じられた。
この記事を読んで、有能な教員の兼業について考えさせられた。公立学校の教員には職務専念義務があるが、たとえば家業が商店などを営んでいる場合、教員がその役員になっていることもあるようだ。収入がないと主張しても、実際にそれを厳密に判断することは難しい。
過去には、株やマンションを所有し、休み時間中に連絡を取っている先輩教員を見かけたことがある。それはさすがに問題だと感じた。
しかし、勤務時間外であり、本務に支障がなく、むしろ本務に活かせる経験や知識が得られるのであれば、兼業はむしろ奨励すべきではないかと考える。教員という閉ざされた世界の中だけで過ごしていると、人間性まで同質化し、子どもや保護者の仕事や未来に思いを巡らせる視点が失われてしまうことがある。
たとえばアメリカ・ハワイ州では、教員は休業中の収入がないため、ホテルでの物販やフラダンスの仕事などを正規に行っているという。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)