強度行動障害の可能性がある子、知的特別支援学校の7割に在籍
NEWS 知的障害特別支援学校のうちの約7割に、強度行動障害の可能性がある児童・生徒が1人以上在籍していることが、文科省の委託調査で分かった。強度行動障害がどのような状態か、教職員のほぼ全員が知っている学校は1割に満たない現状も明らかとなった。
調査は昨年11~12月、全国特別支援学校知的障害教育校長会に加盟している682校対象に実施。507校から回答を得た。
自傷や他害、もの壊し、異食など、本人や周囲の人に影響を及ぼす行為が著しく高い頻度で起こり、特別な配慮が必要な状態の「強度行動障害」と考えられ、継続的に別室での個別対応が必要な児童・生徒の現状を調べた。
507校のうち、該当する児童・生徒が1人以上いると回答した学校は343校で、67・7%だった。
在籍している学校に、最も状態が重いと考えられる児童・生徒の状況を尋ねた。「本人独自の方法ではコミュニケーションできる、またはコミュニケーションできない」が56・6%。突発的な行動が「ほぼ毎日ある」は56・3%、不安定な行動が「ほぼ毎日ある」は49・6%だった。
学校での支援は、「本人が理解しやすいよう、言葉遣いや伝えるタイミングの工夫」や「特性を職員間で共有し、対応方法を統一」は9割超え。視覚的支援や、苦手な刺激を取り除くなどの環境調整などは多くの学校で行われていた。
一方で、組織的な支援体制が「ある程度はできている」は74・1%だったが、「十分にできている」は14・3%にとどまった。
教員の理解の状況を調べると「ほぼ全ての教員が強度行動障害という言葉を知っている」は36・3%。「ほぼすべての教員が、強度行動障害がどのような状態を指すか知っている」学校はわずか9・1%だった。
また、強度行動障害に関する教員研修の実施(予定も含む)状況も調べた。校内研修で実施は22・1%。校外での強度行動障害に関する内容の研修は25・4%。都道府県の強度行動障害支援者養成研修は16・4%だった。
国立特別支援教育総合研究所は強度行動障害に関する研修コンテンツを配信。研修に活用できる。