「大学無償化」にほころび、学生が署名運動
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消費税の税率引き上げで財源を確保し令和2年度に始まった高等教育無償化をめぐり、制度のほころびを指摘する声が現役学生から上がっている。授業料の減免と奨学金の給付を受けて入学したものの在学中に条件を満たせなくなり、突然、困窮状態に陥るといった実例がある。制度の見直しをオンライン署名運動では2万4000筆を超えた。
署名運動の発起人となった高校生は7日、この制度を利用している大学生と共に文科省内で記者会見に臨み、「在学中であっても給付型奨学金が打ち切られるケースがある。このことによって進学や学びを断念せざるを得ない学生が多くいる」「オンライン署名運動を通して、この問題を可視化し、制度の改善を求めたい」と話した。
同席した大学生は東京大学の4年生。地方都市出身で帰省するための交通費は3万円ほどかかる。3人きょうだいであり、当初は制度を利用できたが、3年生になった段階で支援対象外となっていた。
学生は、この間、姉が大学を卒業したことから、要件を満たさなくなったのではないかと見る。学費と生活費を確保するためにアルバイトに追われるようになり、研究者への道は断念したという。
制度を利用している学生が体調を崩し、成績要件を満たせなくなった場合なども、対象から外れる可能性が高くなり、困窮の度合いが増す悪循環に陥る恐れがあるとも指摘した。
成績要件に関しては、平均点で評価を受ける仕組みであることから、平均点が下がらないような講座選びを迫られるとの課題があるとした。
会見した高校生は、在籍している高校に関して、奨学金について話しやすい雰囲気に乏しく、大学入学後も奨学金について相談しやすい環境がないといった課題について触れた。
オンライン署名では、「『扶養する子どもが3人以上』が多子世帯の定義だと、上の子が就職した場合に親の扶養能力は変わらず、対象外になって下の子が働き詰めになってしまう事例が多発しているため、特別な事情を考慮し柔軟に対応してください」などと訴えている。