教職員の休憩時間確保を 働き方改革の指針改正案
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文科省は、学校の働き方改革の方向性を示す指針の改正案をまとめた。教育委員会に対し、教職員の休憩時間や休日の確保を要請。従来の学校と教師の業務の3分類を指針に位置付けた上で、学校に対する過剰な苦情や不当な要求への対応を「学校以外が担うべき業務」として整理した。新たな指針は今秋にも通知する。
19日の中央教育審議会の特別部会で示した。指針について、6月に成立した改正教員給与特別措置法(給特法)では、教職員の服務を監督する教育委員会に、その内容を踏まえて「業務量管理・健康確保措置実施計画」を定めることとしている。
新たな指針は、学校の働き方改革について、学習指導要領の理念の実現に向けた教育を行うためとする目的を明記。国、学校、保護者など教育に関わる全ての関係者が、それぞれの権限と責任に基づき連携して取り組むことが必要だと指摘した。
教職員の「業務量管理・健康確保措置実施計画」については、教育委員会が毎年の実施状況を公表し、総合教育会議にも報告するよう求めた。
また、政府が掲げる令和11年度までに1カ月の時間外勤務を平均30時間程度に削減するとの目標を示し、実現のために時間外勤務が80時間を超える教職員を早急になくすことも要請した。
学校と教師の業務の3分類では「教師以外が積極的に参画すべき業務」として、学校の広報資料の作成、プールや体育館の施設・整備の管理などを示した。「学校以外が担うべき業務」に整理した不当な要求への対応については、来年度、教育委員会への補助事業として支援を拡充する方針だ。
学校の業務の適正化にも触れた。年間授業時数の実態に応じて週当たりの授業時数を平準化するよう教育課程の見直しを促す。また放課後の児童・生徒の補習や部活動などを教職員の勤務時間内に設定することなども盛り込んだ。
新たな指針は、勤務時間の虚偽記録を禁じた他、業務の持ち帰りも原則禁止し、実態把握と業務縮減に取り組むよう求めている。
19日の特別部会では、委員から指針の実効性を疑問視する声も上がった。
一般社団法人「ライフ&ワーク」代表理事の妹尾昌俊氏は、業務の3分類が平成29年から示されていながら、自治体や学校に十分浸透していない原因を検証する必要があると指摘。3分類の見直しで事務職員への負担が高まることを懸念する声も出た。