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マンガでわかる!発達障害とグレーゾーンの人が見ている世界大全

18面記事

書評

柏 淳 著 工藤 ぶち マンガ
タイプ別対応、生活の工夫は

 約10年ぶりに小学校現場に戻り、「落ち着きがない」「空気が読めない」「だらしない」「ぼんやりしている」「忘れ物が多い」「文字が読めない」「計算が苦手」等々、「困った子」というマイナスイメージの言葉や、「発達障害かな?」という声を先生方からよく耳にする。そこで、改めて発達障害について私自身が学びたいと思い、手に取ったのが本書である。
 著者は精神科医であるとともに、自身も幼少期から今に至るまでASD(自閉スペクトラム症)やDCD(発達性協調運動障害)の特性があり、発達障害の人と、定型発達(発達障害でない状態)の人の世界の見え方の違いを分かりやすく紹介したい、と述べている。
 本書は、発達障害の定義や三つのタイプについて、子どもだけでなく、大人になってからの様態とそれぞれへの対応について、具体例をマンガと解説を組み合わせ、分かりやすく構成している。また、うつや不登校、適応障害などの発達障害による二次障害の防ぎ方や、発達障害とともに生きている実在の6人の生活の工夫についても具体的に取り上げている。
 そして、「脳や神経に由来する個人レベルの特性の違いを多様性ととらえ、定型発達の人と発達障害の人とが相互に尊重し社会の中で能力を活かしていこう」との「ニューロダイバーシティ」という考え方の重要性を訴えている。
(1848円 文響社)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

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