早稲田教育ブックレットNo.34 不登校問題と子ども・若者の「居場所」の現在 不登校の子どもが生きる「社会」を拓く
18面記事
早稲田大学教育総合研究所 監修
現場の視点や学術的観点から
文科省が公表したデータでは、令和5年度の小学校と中学校の不登校児童・生徒数(年間で30日以上の欠席者)の合計は、34万人を超え、過去最多となった。
この子どもたちのために、私たちができることは何か。学校、教育行政、研究者、学校外施設・機関、保護者、地域社会全体が、不登校を自分ごととして共に考え、議論し合う機会を増やすことが重要だと思う。
本書は、令和6年12月に開催した「不登校問題と子ども・若者の『居場所』の現在」をテーマとした教育総合研究所主催の教育最前線講演会シリーズ第39回の内容を編集し、ブックレットとしてまとめたものである。
まず、中京大学の森田次朗氏と、NPO法人ネモ ちば不登校・ひきこもりネットワークの松島裕之氏による二つの提案から始まる。「教育機会確保法」の運用と課題、フリースクールで出会う子どもの思いなど、現場の視点とアカデミックな観点とが語られ、読み応えあり。
次に、指定討論者として早稲田大学の阿比留久美氏が、先進国の事例を交え、二つの提案を講演会テーマに集約して座談会へ。
座談会の冒頭は、会場(ネット参加含む)からのご質問・ご意見。本音の回答、その後のトーク、共に圧巻だ。早稲田大学の三尾忠男氏の企画進行も最適。不登校の子どもが生きる「社会」を拓くきっかけとなる書だ。
(1100円 学文社)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)