一刀両断 実践者の視点から【第708回】
NEWS
青年教師の熱と力
夜間中学が増えている。その歴史をたどる際、触れておきたいことがある。明治時代の夜間学校の存在である。
その時代に農家の働き手を夜間学校に通わせて学ばせていたようである。働き手を奪われる恐れから村八分にされるのではないかと思いつつ、それを承知で行動した夜間学校を設立した青年教師がいた。
それは現在のモラロジー道徳教育財団の創始者であり、大分県中津市に生まれ育った廣池千九郎である。廣池千九郎記念館のホームページによると、勤務していた小学校には、農業の手伝いのため、通学できない児童がいたため、夜間学校を設立した。授業の内容は貨幣の数え方など日常生活に使える実用的なものだった。このような取り組みは保護者からも歓迎され、夜間学校は高い評価を得ましたとのことである。
当時の千九郎は20歳前後であった。熱と力が人々の意識を変えていった。現代の青年教師も熱と力は持っていると私は信じている。
そこを発奮させて行動へとつなげるのが教育関係者の成すべき事ではないだろうか。青年が時代をつくる事には間違いがないからである。指導助言はしても、決して臆させてはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)