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エネルギー環境教育プログラム「みんなでエネチャレ」 出前授業を通して児童から家庭へ

7面記事

企画特集

グループワークに取り組む児童ら

地域へと省エネ行動が広まる可能性に着目

 東京ガス(株)が次世代教育支援活動の一環として実施している出前授業「みんなでエネチャレ」。SDGsのゴール13「気候変動に具体的な対策を」の達成に向け、子どもが暮らしの中でできる行動を学び、日々実践することの大切さを学ぶプログラムだ。そしてこの児童の学びを通して、家庭や地域が連携し、市民全体に省エネ行動が浸透することを目指す自治体もある。その一つ、国分寺市の公立小学校で行われた「みんなでエネチャレ」の授業を紹介する。

エネルギー会社だからできる地球温暖化を自分ごとにする授業

 国分寺市立第十小学校の5年生3クラスを対象に行われた出前授業「みんなでエネチャレ」。まずは身近な暮らしの中で、ガスや電気、石油といったさまざまなエネルギーを自分たちが使って生活していることを全員で確認した。「これらのエネルギーを使うと二酸化炭素が出ますが、なぜ二酸化炭素が出るとよくないのでしょう」という東京ガスのゲストティーチャーの問いに、多くの児童から「地球温暖化!」との答えが返ってきた。これまでSDGs学習に取り組んできた5年生だけに、エネルギーと環境問題に対する意識の高さがうかがえた。
 地球温暖化の影響は「農作物がとれなくなる」「異常気象が増える」など私たちの生活にも影響があることをゲストティーチャーが解説。また、エネルギーの会社だからこそできる地球温暖化を防ぐ取り組みとして、燃焼時に発生する二酸化炭素が石油や石炭に比べて少ない天然ガスを都市ガスの原料に使っていることや環境にやさしい発電事業などの取り組みについても紹介した。そして、1950年から2100年までの気温変化のグラフを示し、このままだと最大4・8度の気温上昇が予測されていることに触れ、「夏の気温が今より4・8度上がったらどうなるか想像してみてください」「皆さんにも地球温暖化を防ぐために一緒にできることに取り組んでほしい」と地球温暖化を自分ごととして認識させた。

具体的な数値で省エネ行動の効果を実感的に学ぶ

 グループワークでは、各自の端末でQRコードを読み取り、「エネチャレ大事典」※のサイトにアクセス。画面上には「照明は小まめに消す」「おふろのふたをしめる」など具体的な省エネの工夫が示されていて、その中から自分が主体的に「毎日できそう」「1年間続けられる」と思うものを選んでいく。例えば「外出は公共交通機関や自転車で」にチェックを入れると、「1年間に減らせる二酸化炭素の量や節約できる金額」の目安が分かり、複数の工夫を選ぶと全部の合計値が表示される仕組みだ。児童は端末画面を見ながら、「お風呂のふたを閉めるだけなら簡単そう」「ゲームの時間を少し減らしてみよう」などと、日々できる省エネ行動を選んでいく。各自が選び終えると、各グループの代表者が省エネの工夫を発表し合った。
 児童からは、「二酸化炭素を減らすことで温暖化が防げ、地球のために役立つから続けていくことが大切だと思った」「今まで省エネの対策を少ししか知らなかったが、今日たくさん教えてもらったので、いろいろな省エネ対策を続けていきたい」など心強い意見が多く上がった。
 最後に東京ガスのゲストティーチャーが、「一人一人のチャレンジが、地球温暖化を止めることにつながります」「今日学んだことをお家の人に伝えて、家族で一緒にできる省エネの工夫を『エネチャレ大事典』から選んでチャレンジを続けてください」と締めくくった。
 ちなみに国分寺市教育委員会は地域と共にある学校―コミュニティスクール化を目指し、子どもが地域に何を還元できるかという視点を大切にしている。出前授業後に配られた父母たちへのアンケートの回答にも、「今まで、地球温暖化や省エネ行動は難しいと思っていた。でも子どもの話を聞いて私にもできることがあると知った。これからは家族で決めた省エネをやっていきたい」「二酸化炭素排出量軽減の具体的な数値を教えていただき大変参考になった。少しの心がけで環境を守ることにつながるとわかり、家族で実践したいと思った」「子どもが省エネを意識して過ごそうと意気込んでいるので私も一緒に頑張ろうと思う」「なるべく公共交通機関での移動を心がけようと思った。学んだことを妹に一生懸命教えていて感心した」などと、子どもの学びや気づきが、家庭や地域へと伝わり、省エネを自分ごととして捉えていく様子がうかがえた。

「みんなでエネチャレ」とは

 東京ガスでは、未来を担う子どもたちにエネルギーと環境の大切さを伝え、学校教育が目指す「生きる力」を育むための支援活動に長年取り組んでいる。その一環として、新たに導入された自治体との連携開催プログラム「みんなでエネチャレ」。このプログラムでは、自分たちの暮らしがさまざまなエネルギーに支えられていることに気づき、SDGsのゴール13「気候変動に具体的な対策を」の達成に向け、自分にできること、毎日チャレンジすることの大切さを学んでいく。児童やその家族の主体的な省エネ行動を促すきっかけづくりを目指す取り組みだ。

同プログラムの特長

 (1)1人1台端末上の「エネチャレ大事典」を活用し、自分ができる省エネの工夫(チャレンジ目標)を選ぶと、二酸化炭素の削減目安や節約金額が表示されるので、実行したい省エネ行動が数値化されてわかりやすい
 (2)グループワーク中心に進行するため、主体的・対話的な学びを通して、地球温暖化を自分ごととして捉え、生活に生かす力を育める

 -といったことが挙げられる。

実施可能な教科等

 小学校5・6年の家庭科、社会科、総合的な学習の時間、など複数の教科の1コマで実施可能となっており、柔軟な実施が可能だ。事後学習としての「おうちでエネチャレ」では、授業と同様に「エネチャレ大事典」を活用し、家族での省エネ行動の継続を促すことで、学校からご家庭、そして地域へと連携を広げていくことができる。

 問い合わせ=東京ガス(株) 次世代教育センター
 03-5400-7513(9:00~17:30)
 ※土・日・祝日、当社指定休日を除く
 https://www.tokyo-gas.co.jp/kids/

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