学校事務ベーシック5 学校安全がよくわかる本 環境整備・学校防災・安全教育の視点で子どもを守る
14面記事
栁澤 靖明・井上 和雄 編著
事務職員の参画・活躍例を紹介
本書の主な対象は、学校安全について基本的なことを学ぼうとする学校事務職員だが、管理職や教育委員会の担当者にとっても現場の状況、実践を知る上で大いに参考になる。
第1章が、学校安全と学校事務についての理論編、第2章以降が学校環境、学校防災、安全教育の支援に関する実践例等で、特別支援学校特有の配慮事項等までカバーしている。
特に実践の部分では、編著者、執筆者ら事務職員の主体的、積極的な学校運営への参画や活躍の例が数多く紹介されている。例えば、共同学校事務室が発案し、各学校や教育委員会の職員らも参加できる形に拡大して実施に至ったオンライン研修や、事務職員が計画した防災訓練を兼ねた親子備品点検などの好事例が挙げられる。自らの意思で甲種防火管理者や防災士の資格を取得した職員もいる。
東日本大震災の後、首長部局の職員が対応できるようになるまでの間、校内で避難所を開設・運営した学校で事務職員がどのような業務を行ったかといった貴重な情報もある。
知識を常に最新のものにアップデートするために、思考停止せず学び続けることの重要性を強調する著者らの姿勢は、読んでいて力が湧いてくる。このような事務職員の意欲を、各学校や教育委員会は生かしきれているだろうか。こんな職員が全国で増えれば、どんなに心強いことかと感じた。
(2200円 学事出版)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)


