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ウェルビーイング・コンピテンシー 学びの現場にウェルビーイングを取り入れるための考え方と実践方法

14面記事

書評

平 真由子・渡邊 淳司・横山 実紀 著
指針や年間の教育課程例示す

 「ウェルビーイング(Well-being)」(以下WBと略す)という言葉を昨今、教育をはじめさまざまな分野で耳にする。しかし、「そもそもWBとは何か」「学校で具体的に何をどのようにするのか」といった疑問を持つ人も少なくないと思う。本書では、まずWBを「身体・精神・人とのつながりなど、さまざまな側面を含む、それぞれの人のよく生きるあり方、よい状態」を基本的な解釈として論を進めている。
 本書は5章からなり、1・2章を読むと、WBの学びとは、新たに学校教育に導入される理論や方法論ではなく、これまでの教科指導、生活指導、さまざまな教育活動で従来重視されてきた学びの考え方や取り組みを、「一人ひとりのWBを尊重し、それを実現する資質/能力を育む」という視点から価値付け、体系的に捉え直すことであると書かれている。すなわち、WBやWB・コンピテンシーの理念や詳細に触れてみると、教育の意識や教育観そのものについて考えたり、議論したりする概念であり、学習指導要領の趣旨や、各学校が目指している「育みたい児童生徒の資質/能力」と本質的に共通していることが分かる。
 3章では、WBの学びの指針を示し、4章・5章で実践事例や年間カリキュラム例を具体的に紹介し、学校にWBを取り入れる意義や実践方法が手に取るように分かる一冊である。
(2299円 東洋館出版社)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

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