激動の英語教育政策は「誰」が決めたのか 教育課程行政の政治力学
14面記事
青田 庄真 著
多元・複層的な生成過程を検証
 従来の英語教育政策研究の「慣例的な見方」は「経済界の要望」や「自民党の要望」が学習指導要領に反映され、学校の授業となって結実する。本書では、中央・地方を含め「政策に関わる多様なアクター(個人・組織)」を視野に入れ、技術革新、他教科、地域要因なども考慮しつつ、「多元的な見方」を目指し、政治学や行政学の知見などを取り入れながら、政策の生成過程を検証している。
 序章で先行研究の成果と課題を押さえ、第Ⅰ部は「中央の政策過程を振り返る」。「英語教育に対する政治家の関心」の章では発言内容から国会議員の「プロファイル」を描き、高頻度の話題、理科との取り上げられ方の比較などを考察。併せて、事例研究として小学校英語教育の拡大要因、センター試験へのリスニング試験の導入などについて言及した。
 第Ⅱ部「自治体の英語教育政策を問い直す」は、地方自治体での「英語教育のポリティクス」に焦点を当てた。英語推進のための実務組織の特徴、小学校英語教育政策、自治体独自の外国語教育施策、具体例などで構成した。
 検証に際しては、国会での発言(第Ⅰ部)を精査し、地方自治体を対象に著者が実施した調査データ(第Ⅱ部)を駆使するなどして、「英語教育政策の政策過程は様々な面で多元的かつ複層的であり、中央のエリート以外にも、自治体内の政治をはじめとする多くのアクター・要因の影響力が及んでいる」ことを実証し、強調している。
(3520円 大修館書店)
(吹)


