倉本由布　著　こりゆ　絵

　ピアノの天才を双子の兄に持つ水絃は楽器博物館に、「デュオ・ピアノ」という１００年前に作られたグランドピアノのギャラリートークを聞きに来た。
　楽器の説明や演奏もあり、このピアノの音が聞ける貴重な機会。演奏のブラームスのワルツ１５番を聴きながら、２年前にピアノ教室の発表会で兄と２人、この曲を特別なプログラムとして弾いたことを思い出していた。その時、「本当に？」と不思議な声が聞こえ、ハッとする。演奏は終わっていた。水絃は、そこにすみ着いていた霊に取りつかれてしまう。
　その霊と対峙することを通して自分の気持ちと向き合いながら、身近な人と比べてしまう悩みに立ち向かっていく物語。（小学校高学年から）
　（１７６０円　アリス館）
　（Tel０３・５９７６・７０１１）