学校カウンセラー事業など政府レビュー、労働時間と相談件数の分析を
NEWS 政府は13日、予算の無駄を検証する「行政事業レビュー」でスクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)を配置する文科省事業を取り上げた。いじめ・不登校対策の観点から重要だとしつつも、SC、SSWともに1人あたりの労働時間や相談件数の関係などを分析した上での効果検証を求めた。
今回対象となった「いじめ対策・不登校支援等総合推進事業」では本年度、SCを全公立小・中学校に週4時間、SSWは全中学校区に週3時間配置。経費の3分の1を国が補助しており、本年度予算では94億円、来年度の概算要求には118億円を計上した。
有識者からは、いじめ・不登校対応としてのSC・SSW配置に理解を示す声が上がった。一方、同省が策定したCOCOLOプランで掲げる「不登校により学びにアクセスできない子どもをゼロにする」目標に照らして配置を増やすことが効果的か、疑問視する意見もあった。
政策シンクタンク構想日本の伊藤伸氏は、配置時間を2倍にしている重点配置校の分析が必要だと指摘した。
これに対して文科省の担当者は、重点配置校は生徒指導が困難であるケースも多く、必ずしも単純比較はできないとしつつも、今後の成果指標の検討に活かすと応じた。伊藤氏は、相談の頻度や方法など、より詳細の分析やエビデンスに基づく検証、AIの活用も求めた。
慶応義塾大学の大屋雄裕教授は、勤務時間に対する相談対応数など、事業のどのような部分が効果として出ているかを把握するよう要望。その上で、不登校中に学びにアクセスできる環境の確保と同時に、その中でどのような能力を身につけられているかの検証も必要だとした。
文科省では本年度、労働時間などのデータ収集を進めており、来年秋ごろにも公表する予定。フリースクールなどでの学びに関して、学校で出席扱いや成績評価している児童・生徒の数なども踏まえて総合的に分析していくとした。
会合ではこの他、SC・SSWの質や児童・生徒のウェルビーイングの向上を求める意見もあった。
議論のとりまとめとして有識者は、
・1人当たりの投下労働時間や実労働時間、相談件数のデータを分析すること
・人権擁護委員など、他機関との連携
・支援内容に関する周知の推進
・不登校でも学びにアクセスできている子の状況を把握できる指標の設定
―などを提言した。

