一刀両断 実践者の視点から【第714回】
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児童虐待と歯科検診
児童虐待をめぐる報道は今も絶えない。発見が早ければ防げるのだが、具体的な手立てが見出せていないのが現状だろう。
母は養護教諭だった。保健師、助産師、看護師を務めた後、養護教諭の全校配置により、40歳を過ぎてその任に就いた。
その際、教師の健康はもとより、児童生徒一人ひとりの健康を把握し、指導していた。
印象深かったのは、歯科検診後の齲歯(虫歯)の状況比較である。治療されずに放置されている子どもの家庭の状況を気にかけ、保護者と担任を交えた三者で改善に取り組む工夫をしていた。
その視点は私も引き継ぎ、歯科診断の報告をつぶさに比較し、保護者と治療計画を相談することを重ねていくうちに家庭の事情が見え始め、児童虐待をかなりの数、把握して未然に防ぐ結果となった。
自我が表れ始める小学校4年生前後に、虐待の件数が多いと感じる。生意気になり言葉遣いも悪くなったわが子に、親は戸惑うことがある。受け止め方を学んでいないと、しつけと称して体罰が始まるのではないか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)


