日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

自ら変革する学校 柔軟な教育課程と授業

12面記事

書評

天笠 茂 著
次期指導要領 見据えた在り方提言

 9月に中央教育審議会教育課程企画特別部会から論点整理が示された。「『主体的・対話的で深い学び』の実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」がキーワードとして挙げられる。教育関係者は学習指導要領改訂に向けての動きを注視しているところ。著者は、その中教審でもこれまでに多くの要職に就かれ、令和の日本型学校教育の構築に深く関わられている。特にカリキュラム・マネジメントに関する造詣は深く、多くの教育関係者が学びを求めてきた。本書も同様に今後の教育の動向を知る上で多くの示唆を得ることができ白眉な書だ。
 第Ⅰ章「二○四○年を射程におさめる」では、不登校の増加、教員不足の現状等の課題から学校消滅の言葉すら見え隠れする。学校の存立を考えると「自ら変革する学校」の書名が意味深く響いてくる。学校はいかなる役割を担い、何をなすべきか。そして第Ⅱ章「戦略的思考を持った学校」へ導かれる。教育現場はただ改革されるべき対象として存在するのではなく、主体的、自律的に学習指導の方向を描くことが重要。まさに「自ら変革」することだ。変革の時代に求められる学びを実現するには戦略と戦術を持って臨んでいく。その一つが主体的な学びの実現を図ることと指摘。学びの伴走者としての教師の在り方が問われる。「多忙な日々の中にあっても、この先に思いを馳せる機会に」の言葉を心に留めたい。
(2420円 教育出版)
(藤本鈴香・大谷大学教職アドバイザー)

書評

連載