Funから始まる・Funが育む障がいや病気のある子どもの支援 うごく・まなぶ・つながる
13面記事
船橋 篤彦・高塩 純一・副島 賢 編著
「楽しい」と挑戦し続けるために
本書を読んでいて、以前、分身ロボットオリヒメのカフェで出会ったパイロットの方が、九州から遠隔操作でおもてなしをしてくださり、楽しい対話の時間を過ごしたことを思い出した。
本書を貫くキーワードの「Fun」は、誰かから与えられるものでなく、「興味をもつ・発見する・気づく・気がついたら夢中になっている」ものであり、その「沸き立つような楽しさ」は、当事者と支援者が互いに影響を与え合う中で生まれ、生活を華やかにしてくれるものである。
第Ⅰ部「うごく」では、肢体不自由や重複障害のある子どもたちの「Fun」、第Ⅱ部「まなぶ」では、病気や障がいにより制約が生じている子どもの学びや遊びを通した「Fun」、そして第Ⅲ部「つながる」では、人的・社会的環境による「Fun」が、9人の執筆者による実践(QRコードで動画参照あり)で著される。
また、小児版ICF(国際生活機能分類)の六つのF―ワーズのポスターが紹介されており、障がいのある子どもたちの世界が可能性に満ちあふれていることを、子どもたち自身が自分の言葉で伝えてくれている。
本書は、子どもが「自分でできる!」「楽しい!」と挑戦し続けるために大人や親が大切にすべき根本的な考え方を、「Fun」な支援を通して教えてくれる。
(2640円 北大路書房)
(重森 栄理・広島県教育委員会乳幼児教育・生涯学習担当部長(兼)参与)

