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「プラットフォームとしての学校」の実践 多職種・多機関連携のマネジメントと教員の役割

20面記事

書評

柏木 智子・後藤 武俊・片山 紀子・百合田 真樹人 編著
困難抱える子どもの支援充実へ

 学校は抑圧的な息苦しい空間と見なされ、家庭環境も厳しいならばと、学校や家庭の外にサードスペースとして子どもの居場所を創出することが模索されてきた。しかし最近では、貧困などさまざまな困難を抱える子どもを支援するための拠点(プラットフォーム)として学校を位置付けようとする動きが広がっている。  
 ただ、その場合に教員の負担増が懸念されそうだが、学校の機能拡大と教員の役割肥大を直結させず、子どもの困難軽減と教員の負担軽減を両立させる方法があるらしい。それが多職種・多機関連携であると本書はいう。
 第Ⅰ部では理論的視座を整理し、第Ⅱ部では学校に関わる多職種の立場から実践事例を紹介する。とりわけ「場」(情報交換・空間配置)、「制度」(法や手続き、規範)、「人」(人事、活動、能力)に注目し、連携方式やそのマネジメントを考察し知見の析出を試みている。
 連携を阻む学校文化については「責任のオープン・システム」へ転換することが重要で、管理職の専門性は公正で民主的な価値を社会の中で共同構築するところにあるという。教員の専門性もホリスティックなものが期待され、他職種と分業して「ティーチングマシン」となる方向ではないことが読み取れる。現在進行中の教員政策の議論と本書が示唆する方向とのズレからは、子どもらのウェルビーイングを保障するとは何かについて考えさせられる。
(2970円 ミネルヴァ書房)
(元兼 正浩・九州大学大学院教授)

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