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風穴をあける学校 不登校生が通う特例校 草潤中が切り拓く子どもたちの未来

14面記事

書評

佐藤 明彦 著
一般校で生かせる取り組みも

 本書は、2021年度の開校以来、全国からの視察が絶えない岐阜市立草潤中学校の姿を、教育ジャーナリストの佐藤明彦氏が丁寧に描いた一冊である。
 同校は「学びの多様化学校」という特例校に指定されているのだが、その取り組みは既存の学校像に大きく揺さぶりをかける。年間授業時数は770時間と一般的な学校の約4分の3に抑えられ、一日の授業はおおむね4時間。服装や頭髪の規則はなく、校則自体が存在しない。担任は生徒が指名し、年度途中の交代も可能である。行事は全て生徒が企画し、授業は教室でもオンラインでも受けられる。まさに従来の学校イメージを刷新する「学校らしくない学校」である。生徒、教職員、教育委員会職員、地域住民など、多様な関係者への丹念な取材を通して、本書は草潤中が「不登校だから仕方なく行く学校」ではなく、理想の学校像を追求する場であることを生き生きと伝える。教職員のアイデアを重んずるボトムアップ型の学校運営も大変印象深い。
 いじめや不登校の増加、教員の過重労働など、閉塞感の強まる教育界にあって、草潤中はまさに風穴をあける存在である。著者は、同校を特殊な事例として片付けるのではなく、授業づくりや生徒との関わり方など、一般校でも生かせる点は多いと強調する。学校の当たり前を問い直し、学校の再定義を図る上で必読の書といえる。
(1980円 発行 時事通信出版局 発売 時事通信社)
(井藤 元・東京理科大学教授)

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