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ファシリテーション型生徒指導 対話が生みだす学びの共同体

23面記事

書評

山中 信幸 著
特活と関連付け共生を実現

 冒頭、「学校教育において、もっとも大切にすべきことを一つだけ挙げてください」と読者に問うている。著者はその答えを「あらゆる関係性を重視すること」と述べ、本書ではより良い人間関係を構築するために学校教育において「共生」の実現を図る「生徒指導」の在り方を「特別活動」との関連からひもといている。
 「従来の管理主義的・統制的な生徒指導」から「子どもの自己指導能力を育成し、民主的な関係性を構築する生徒指導」への転換が必要であり、この転換を具体化するための提案が「ファシリテーターとしての教師」という概念である。このことについては、第2章でどのような視点で、どのように子どもと接するかについて具体的に分かりやすくまとめられ得心する内容となっている。
 本書は第1章で生徒指導の総論を、第2章以降、生徒指導と特別活動の二つの領域との関連を「人間関係の形成」「社会参画」「自己実現」の視点から具体的に述べている。そして第5章で、「ウェルビーイング」「感情的知能指数(EQ)」といったキーワードとの関連性についても言及しており、学習指導等にも役立つ取り組み例が数多く示されている。規制や統制ではなく、「子どもたちが自ら適切な判断を下せるように『対話』を通して導く」必要性を一貫して主張している一冊である。
(2420円 新評論)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

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