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新訂増補 神経発達症と少年非行 司法面接の実際

23面記事

書評

藤川 洋子 著
治療的アプローチ、特性理解に

 子どもの問題行動を考えるとき、いまや神経発達症という視点は欠かせない。本書は、2008年に出版された『発達障害と少年非行』の新訂増補版で、少年非行と神経発達症との結び付きを臨床現場からいち早く指摘した著者が、その嚆矢論文、記念碑的研究を含む全14章を新たに構成し、神経発達症の視点がどのように受け入れられてきたかを概観している。まさに非行臨床の決定版といえよう。
 第1章から第5章は、著者が家庭裁判所調査官時代に出合った「自閉スペクトラム症」や、少年法改正以後の状況を述べた講演、東京家裁の少年部科学調査官室主任として共同研究した32例の論文を収録している。
 第6章以降は、家裁調査官を辞した後の研究者としての成果で、暴走族の衰退後に出現した特異な少年事件や殺人事件に焦点を当て、解明に必要な着眼点に言及、少年犯罪を生物的・心理的要因、社会的要因から複合的に解明することの意義と治療的なアプローチの実践事例を紹介。その他、虐待被害に遭った子どもから事実を聞き出す米国の司法面接の実践、更生保護の現場で欠かせぬ神経発達症の特性理解、治療的プログラムの実際などを紹介している。
 著者は『わたしの出会った少年たち』を日本教育新聞社から出版、日本教育新聞にエッセーを連載、教育セミナーの講師も担当したので、ご存じの読者も多いと思う。
(3740円 金剛出版)
(矩)

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