AIを外国語教育で使わない選択肢はもうない
14面記事
大木 充・小田 登志子・岩根 久 編
時間と場所に縛られず自由に
タイトルにある通り、「もはやAIと共生しない外国語教育・学習は考えられない」というのが本書の主張である。わが国の英語教育は小学校から高校まで約1千時間に及ぶが、学習期間が長期(8年)に分散し、集中的に力を伸ばす仕組みにはなっていない。この状況は「飛行機が離陸時に一定の距離を集中して全力疾走しないといつまでたっても離陸できない」のと同じである。
生成AIの登場により、外国語教育は大きな転換点を迎えている。著者は外国語習得に必要な条件として、時間、実践、動機付け(やる気)の三つを挙げ、これらはいずれもAIと極めて相性が良いと説く。AIは大量でかつ良質な言語使用の機会を瞬時に提供し、学習者が教師なしで時間や場所に縛られず、好きなだけ好きなように学習ができる環境を整える。加えて、従来の一斉授業においては困難だった学習者一人一人に対応した学習を実現してくれる。
本書には、チャットGPTやDeepL(翻訳AI)、Copilotなどを活用した数多くの実践例が示されており、AIを活用したことのない授業担当者にとって確かな道標となるだろう。最終章に収録された英語教育の第一人者、鳥飼玖美子氏へのインタビューも読み応えがある。AIをいかに使うかが問われる時代において、本書は外国語教育に携わる全ての者に示唆を与える一冊である。
(2860円 ひつじ書房)
(井藤 元・東京理科大学教授)

