子どもたちの可能性を最大にする 1年間の学級経営 ゼロからつくる心理的安全性
14面記事
天野 翔太 著
自立と挑戦心を育む教室
「教え、導くべき対象」という児童観から転換し「子どもたちと共に創り上げていく」学級観を手に入れた著者は「子どもたち一人ひとりが安心して自分の意見を言え、失敗を恐れずに挑戦できる環境づくり」、すなわち「心理的安全性」を重視した学級づくりを目指した。
本書の元になっているのは「心理的安全性AWARD2023」で入賞した際の小学2年担任時の実践。教師と児童、児童同士の信頼関係が深まるにつれ、教師が児童に「委ねる」割合が増えていき、そのため学期に対応した各章のページ数は1学期(土台をつくる)が全体の約4割、2学期(自走し始める)は2割弱、3学期(自立した学び手集団になる)は1割弱と、心理的安全性の高まりとともに、減っていくことにつながっていくのだろう。
「心理的安全性は決して新しい概念ではない」と指摘し、これまで多くの教師が取り組んできたことと重なると、著者は指摘する。だが、「先生への手紙」で個との触れ合いを深め、毎日「ありがとう」を口にし、さん付けで必ず呼び掛ける、会議がある時の下校時には校門まで児童を見送りコミュニケーションを取り続ける、保護者の思いを知り還流する仕組みを提供するなど、著者の学級づくりの日常の所作からは高い熱量が感じられる。
各学期の児童の状況を踏まえて仕掛けられる著者の”企み”に啓発される読者も多いのではないだろうか。
(2200円 学芸みらい社)
(矢)

