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教職エンパワーメント

15面記事

書評

浜田 博文 著
全員で教育改善図る組織を提言

 「失われた30年」は経済や国力低下だけでなく、教育界も同様である。教職が自信や自己効力感を剥奪されたディスエンパワーメントの状態に陥っているという現状認識から本書は出発する。社会環境の変化に伴う学校の<正当性>の揺らぎは諸外国でも見られる現象だが、著者が指摘するように「民間経営信仰」など政策関係者の暗黙の想定が教職を劣位に追いやっているのだとすれば罪深い。
 「学識ある専門職」(プロフェッション)という戦後目指された教師像から「実践的指導力」を持つ高度専門職業人(スペシャリスト)へという理想像の変化も共犯かもしれない。「学ばされ続ける教師」は専門職から程遠く、非正規でも代替可能な仕事にされかねない。
 こうした状況を打破するために著者が提案するのは組織論の視点である。カリスマ校長によるトップダウンではなく、教師一人一人が所属校の教育の質の改善に内発的に関与できるような教職のエンパワーメントを高めるための視点を提示する。
 ガウディを意識しながら、職人一人一人が主体的にサグラダ・ファミリアを造り続けているように、学校も教職が中心となり、内外にまたがるさまざまなコミュニケーションネットワーク(学習する組織)をどうつくり上げるかが問われている。
 教師教育学と学校経営学をリードしてきた著者による教職の復権に向けたエールである。
(2970円 東洋館出版社)
(元兼 正浩・九州大学大学院教授)

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