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社会モデル・人権モデルから見た インクルーシブ教育概論

15面記事

書評

小国 喜弘 編著
共に学ぶ豊かさと具体的進め方

 障害の社会モデル・人権モデルに基づくインクルーシブな学校の理念と具体的事例を、教職課程履修者や教員、特別支援教育に関心を持つ読者に向け分かりやすく解説する。
 理論編では、基本的な考え方、インクルーシブ教育の理念と日本の特別支援教育の特徴、多様な子どもが同じ教室で共に学ぶ場合の環境構成や合理的配慮などを、事例編では、保・幼、小・中、高校に分けて具体例を挙げ、インクルーシブな教育の進め方を、まさに「クールヘッド、ウォームハート」で描いている。
 特別支援教育が始まり、障害のある子どもに分かりやすい授業は全ての子どもに分かりやすい授業だという考えに立つ取り組みが進むようになったとし、学習指導要領等が示す特別支援教育に関する内容のポイントや学習評価の考え方などは、全ての教員が理解すべき必須の内容だと強調する。その一方で、障害児教育が「分類・分離」を基礎とするサブシステムであったことや、「障害による困難の克服」という特別支援教育の特徴も鋭く指摘している。
 「インクルージョン」と「インテグレーション」の違い、「多様性」と「差異」の混同など、重要な論点の提示もある。
 全編を貫くのは、「分ける」教育の問い直しと「分けない」教育の豊かさ、特に高校教育における「能力主義」への批判などだ。これらは読者への問い掛けでもある。
(2640円 ミネルヴァ書房)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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