愛着障害 教師の言葉かけ
15面記事
小嶋 悠紀 著
学校での修復可能性を明言
「愛着障害」と聞くと、「虐待」や「極端に劣悪な家庭環境」などがまず思い浮かび、評者自身「愛着に問題がある=家庭の問題」というイメージを持っていた。発達障害は「脳の機能障害」なので、「環境整備」「薬物療法」「療育」や「特別支援教育」の対応で効果が出るといわれている。しかし、本書と出合い、愛着障害は「感情の問題」であり、脳の機能障害への対応をしても「安全なつながりがつくりづらい」という愛着障害の最も重要な課題に直接アプローチできないことを知った。
本書は4章構成で、第1章で「愛着障害」について解説がなされ、発達障害の症状と類似しつつ、愛着の課題は必ずしも家庭やその子の特性のみによって引き起こされるものではなく、学校での教育環境そのものが、子どもの「安心感」を奪い、愛着障害を引き起こすこともあると述べている。そして、愛着障害のある子どもたちに見られる「ほめられたい、認められたい」などの10の特徴と、それに対応する八つのスキルが示され、「愛着は学校で修復できる」と明言している。第2章で愛着障害のサインを、第3章で愛着障害のある子どもへの言葉掛けや対応を46の事例を通じて解説している。そして、第4章で家庭との連携について言及している。本書を読みながら、「愛着障害」と思われる子どもの姿が目に浮かんできた。
(2200円 東洋館出版社)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

