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教師の仕事の盲点 重要なのに意識にのぼらない41のこと

12面記事

書評

大前 暁政 著
教授法や学習環境の点検に

 かつて採用選考の面接官を務めた際、多くの受験者が志望動機として「理想の恩師」を挙げていた。採用後はその恩師の指導法を踏襲しがちであり、あるいは初任校での経験がそのまま自身の指導スタイルとして固定化されることも少なくない。しかし同じ指導法がいつまでも通じるとは限らない。
 本書は、教師が陥りやすい心理的な盲点を、学校現場の多様な場面に即して丁寧に解説している。内容は、第1章の授業デザインに始まり、学級経営、子ども対応、特別支援教育、ICT活用、学校づくり、教師の姿勢等、多岐にわたる。
 特に一貫して強調するのが「教授方法の工夫」と「よりよい学習環境をつくる工夫」の二つの視点である。しかし、子どもの立場に立った学習環境の工夫は、学校段階が上がるほど軽視されがちではないか。新学習指導要領が重視する「子どもの最適な学び」を実現する上でも、本書の指摘は大変参考になる。
 さらに「一つの教育方法に精通するほど盲点だらけになってしまう」「教師集団は似たような見方・考え方をもつ、多様性の低い集団であり、必ず盲点が生じているという自覚が必要」など、示唆に富む指摘が随所にある。
 現代の教師は常に自らをアップデートすることが求められる。経験の伝承に頼るのではなく、本書のように理論化された知見を基に、自身の指導を点検する必要がある。
(2596円 明治図書出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会特別参与)

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