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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第36回】

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新型コロナに学びあり

 子どもが限界なのか。大人が限界なのか。
 私は何度となく「子どもは、子どもの中で育つものである」と話してきたが、この意味をこれまであまり理解して来なかった先生達や保護者に、今回の新型コロナウイルス対応で痛感できたのではないだろうかと思っている。システムが機能不全に陥ると、普段では見えない機能がはっきりしてくるものである。学校や給食などの有り難さもその一例である。

 見ようとしなければ、見えない多くのものに私達は支えられている。概して、大人の中で育った子どもは、言葉遣いや価値観のズレを保持しながら大人になり、やたらと気を遣うとか、遣わないとかのタイミングのズレが出る。また不自然な愛想笑いを身に付けてしまう場合もある。
 分かりやすいのは、眼が固まっている事である。子どもの中で揉み合うこの時にしか出来ない経験は、後で補うことが出来ない。それと似たものが1人親家庭の子どもにも時に見受けられる。

 大人がパニックになりかかっている様相を子どもはどのように見ているだろうか。地球規模の試練を大人達が如何に知恵を出しあって乗り越えて行ったかを地球の歴史に子ども達の記憶にしっかりと残さなければならない。「苦難福門到来!」を「自己の生き方を考える」を目的とする総合的な学習の時間の課題として、子どもの心に楔として打ち込めるチャンスである。子ども達が全力で論議する姿が見えてくるようだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」