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令和4年通常国会質疑から【第2回】

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議会

 開会中の通常国会では令和4年度予算案や法案の審議と並行し、衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などで、教育問題をめぐってさまざまな討議があった。2月17日の衆議院予算委員会第四分科会では、櫻井周氏(立憲)が大学生の男女比率について質問。国立大学の学生は女性の割合が少ないことを指摘した。文科省は要因分析について省内で検討するとしている。

国立大学の女子学生、なぜ少ない

櫻井周議員 教育における男女平等実現ということについてお尋ねをいたします。

 お渡ししております資料の方で、下の方、表になっておりますが、こちら、国立大学、公立大学、私立大学で、男女の学生の比率でございます。公立大学と私立の大学については、男女比、おおむね学部については五対五ぐらいになっておりますけれども、公立はむしろ女子学生の方が多いという状況ですが、大学院になってくると、公立、私立でも男性が六割、女性が四割弱ということで、男女比のアンバランスというのが出てきてしまっている。国立大学については、学部でも大体六対四ぐらいということで、男子学生が六割ちょっと、女子学生が四割に満たないという状況です。

 これは去年もいろいろな角度から質問させていただいたんですけれども、やはり、国立大学でこれだけ差があるというのは何でだろうと。入学試験で男子にげたを履かせたりとかいうことはやっていないと思いますので、以前、私立大学の医学部で男子学生にげたを履かせるとか現役の学生にげたを履かせるみたいなことがあって大問題になりましたけれども、このことについては、もうそういったことはないようにということでされているかと思いますが、ただ、そういうことをやらなくても、やはりこうした差が出てきてしまう。これは何でだろうというので、これまで何度もそれを文部科学委員会なり予算の分科会で質問として取り上げさせていただきました。

 改めて、国立大学だけこれだけ差がついている、これはなぜだというふうに、原因、大臣はお考えでしょうか。

学部構成上の要因がある

末松文科相 御指摘のとおり、日本の大学における女子学生の割合比、国公私立全体で四五・六%であるのに対して、国立大学は三六・九%と大変低い状況になっております。

 一方で、分野別を見ますと、特に、理学部、工学部系の学部に在籍する女子学生の割合は、国公私立全体で一七・八%と大変低い状況になる。この理学部、工学部の学生が全体の学生に占める割合については、国立大学が最も高く、三四・五%を占めており、公立大学の一九・七%、そして最後に私立大学の一三・八%より高くなってございます。

 先生御質問の、国立大学の女子学生が少ない理由につきましては、これはやはり学部構成上の要因が一つあると思うんです。やはり私学に行きやすいと思うんです。それと、進学先に対する保護者とか生徒本人の意識がやはり一番大きく影響しているんじゃないかな、そういうように分析をしてございます。

原因の分析を

櫻井議員 いろいろな諸説はあるわけなんですけれども、しかし、これは一体どこに原因があるのかということをやはりきちっと調べていかないと、対策の打ちようがないのかなと。各大学は、それぞれいろんな形で努力をされているやに聞いております。女子学生に対して奨学金を手厚くするとか、ないしは、もし親元を離れてということであれば女子生徒用の大学の寮を整備するとか、いろんな形で努力はされているかと思いますが、しかし、根本的な原因が、例えば高校の、学校の指導過程の中にもしかしてあるのかもしれませんし、特に女子校の場合には、例えば物理とか化学の授業がそもそも少ないとか、そういうことがもしあるのであれば、そこは見直していかないと、そこを変えていかないと、やはり、なかなか女子学生が理科系に進学する、国立大学に進学するというのが増えていかないのではなかろうか。

 高校までは、男女の差というのは余り日本では出ていないんですけれども、ジェンダーギャップ指数を見ますと、大学に入る頃に大分差がついて、大学を卒業するときにもっと差がつくというような形で、大人で、だんだんある程度、一定、責任ある地位になってきますと、例えば今日のこの部屋でも、ほとんど男性というようなことになってしまうわけですね。

 文部科学省は、まだそれでも、赤松大臣のときに女性をたくさん採用するんだと。ちょうど私も国家公務員試験を受けて就職活動をしているときだったので、何か文部科学省は女子ばかり採るらしいぞとか、何かそんなことがうわさになっていまして、えっと思いましたけれども、ただ、逆に言えば、今までほかの全ての省庁が男性ばかり採っていたんですから、たまにはそういう時代もあっていいのかなというふうにも思いましたけれども。

 文部科学省はまだそういう素地が少しはあると思うんですけれども、ただ、そうは言っても、大学から差がどんどん開いてしまって、それが積もり積もっていくと、なかなか、いつまでたっても男女共同参画は実現しない。そうしますと、やはり、日本の人口の半分いらっしゃる女性、その能力が十分に発揮されないということになりますと、これはまた日本の社会の活力も半減してしまうということになりますので、是非これは進めていかなきゃいけないというので、是非これは大臣にお願いしたいのは、根本的な原因はどこにあるのかというのを一回ちゃんと調べていただきたいということです。

 これは文部科学省だけでは調べ切れないことかもしれません。日本の社会とか家庭の状況もあるかもしれません。是非、内閣府なり関係部局とコラボレーションして、きちっとこの原因を分析していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

省内で検討したい

末松文科相 分析のお話でございますので、今日先生から御意見をいただきましたので、省内で一度検討したい。

 というのは、先生、林大臣のときにも男女比率のことについて議論をされました議事録を昨日ちょっと夜読ませていただきまして、ハーバード大学は五対五やぞ、なぜだというところの議論で、いろいろと意見交換を興味深く読ませていただきました。ちょっと内部で検討させていただきたいと思っております。

 それと、理科系の女子というのは、やはりいろんなプログラムをつくって、女子中高生の理科系進路選択支援プログラムをつくったりとか、いろいろやっておりますのですけれども、私は、個人的にですけれども、やはり小中の先生に、理科系の、勧める、何となく伝わってくる、そういう意識をつくり出すというのが若干弱い面もあるのかなという思いもあります。行け行けと言う先生はそういなかったような感じも受けております。

 これは余談でございますけれども、ちょっと自分の思いを少し述べさせていただきました。
(議事録から抜粋)

令和4年 通常国会質疑から