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校長塾 経営力を高める最重要ポイント【第545回】

4面記事

管理職・学校経営

堀越 勉 千代田区立麹町中学校校長(東京都中学校長会会長)
生徒が委員会活動の特色にNO!
「おかしいものはおかしい」 正論が通る学校に

 学校の決まりの在り方が全国で話題となっている。生徒会規約を精査することも、校長の大切な仕事だ。学校外からは見えにくいが、摩訶不思議な内容が規定されていることもあるのだ。
 令和5年度の後半になり、生徒から麹町中学校の特色に対して、NOが突き付けられた。委員会制度の話である。令和元年度の生徒会規約改正によって、本校生徒の委員会活動は、人数制限が撤廃され、希望者は全員所属できることになっていた。
 「主体性」の名の下に、希望者全員を優遇する施策だと聞いている。委員会に所属すれば、「受験に有利」との誤解が生徒にまん延してきた。本校は以前、単元テストのシステムの影響で、5の評定が突出して多かったが、これと合わせて高校入試を見据えた取り組みとも伝わっている。
 例えば、ある学級では体育委員が10人いたが、給食委員はゼロとなり、機能不全に陥る。ある委員会では委員が80人になり、会議が成り立たない。こんなことが現実に起きてきた。
 委員会とは自治活動である。一定の職務を委員の生徒が分担し、学校生活の課題を解決しながら、生徒目線でより良い学校にしていくことが目的だ。ところが、本校では、人数の偏りによって、真面目に仕事を行う生徒と名義だけで何もしない生徒の二極化が発生。真面目に努力してきたリーダー生徒のモチベーションや、学校全体のモラールが低下する要因になってきた。
 教員の間では、委員会制度の問題点がたびたび話題となっており、正常化策の検討を進めていたところだった。
 このような中、生徒会の代替わりとともに、生徒から「委員会制度がおかしい」との声が表面化した。真剣に学校を良くしたいと思っている生徒たちが、声を上げ始めたのだ。生徒会担当の教員が、規約改正への手続きを適切に指導し、生徒の力で改正への議論が始まった。
 これまでの仕組みを支持する3年生に対して「真面目に取り組める委員会に」という1、2年生の主張がぶつかった。そして、真面目に働く生徒が輝ける学校にしたいとの正論(まっとうな主張)が通ったのだ。これまで「おかしいものはおかしい」と言える学校風土の醸成に努めてきたが、功を奏し、まさに主体的に考える生徒が育ってきた。
 令和6年度、各クラスにはバランス良く委員が配置され、学校全体としても適切な人数での委員会活動が始まっている。当たり前の光景が目の前に戻った。

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