校長塾 経営力を高める最重要ポイント【第546回】
4面記事堀越 勉 千代田区立麹町中学校校長(東京都中学校長会会長)
地域の誇り、愛校心を取り戻す
失われた尊い文化 復活させよう
公立学校は地域の学校である。地域の誇りや愛校心を大切にしながら学校経営を進めていくのが、校長の使命である。独善的であってはならない。
母校への思いを強く感じ、改善した取り組みを紹介する。
(1)校章の復活
本校は伝統的に学年カラーをあしらった校章を大切にしてきた。同窓会にカラーのバッジを持ち寄るなど、麹町中生としての誇りのよりどころとなってきた。しかし、5年前、制服検討委員会の中で、生徒・保護者・教職員の合意形成に基づき、廃止される結論に至ったと伝わっている。一方で、同窓生からは、校章の復活を強く願う声をたくさん頂いた。また、当時の制服検討委員会のメンバーだった卒業生から「『校章だけは残してほしい。私たちの誇りです』と最後まで訴えたが、大人によって廃止された」と悔しさを訴える声も届いてきた。合意形成がなされていなかったのだ。
そこで、本年度の新入生から、伝統の校章を復活させた。配布した時、生徒から拍手と歓声が上がったという。生徒が校長室にわざわざ見せに来てくれた。本校で学んだ誇りとして大切にしてほしいと願っている。
(2)校歌の楽譜の復活
校歌の音程が違う―。4年ぶりに来賓・保護者を制限なく招いての卒業式・入学式を挙行した時に聞こえてきた声だ。同窓生からも、自分が愛してきた校歌と異なると告げられた。専門家に相談したところ、楽譜の音程が2度低いものに変更されているという。この話を受けて、同窓生有志がオリジナルの校歌の素晴らしさを伝えようと、合唱を披露してくれた。オリジナルは現在の曲より明るい曲調だ。次の卒業式には、明るい校歌で送り出したい。
学校がこれまで積み重ねてきた伝統は、それ自体に尊い教育文化が内在している。一方で、外から見えるもの、見えないものを含めて、本校では大切な事柄が数多く失われてきたのだ。
私は、課題と向き合い改善策を講じる作業を繰り返し、学校を整えてきたが、道半ばである。これまで、地域の皆さんの母校愛を受け止めてきた。また、歴代の校長先生方や全国の校長先生をはじめ教育関係者の皆さんからも温かい励ましや指導を頂いてきた。
これらを大きなエネルギーとし、目の前の生徒の姿に正対しつつ、確実に学校改革を進めていく所存である。学校に当たり前にあるべき、誇りや愛校心を適切に取り戻したい。
(次回から嶺岸秀一・千葉県八千代市適応支援センター所長が登場します)