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コミュニティ・スクールを持続可能にする地域コーディネーターのキックオフ

6面記事

書評

前川 浩一・青木 一 著
充実・発展に向けた仕事術を伝授

 コミュニティ・スクール(CS)が急速に増加している。学校と地域の関係が強固になり、共に子どもを育てる意識が育まれ、学校を基盤に新しい地域づくりが進んでいるといった成果が語られる一方、活動のマンネリ化、形骸化も指摘されてきた。特にトップダウンのCSは「形だけ」になるという話も聞こえてくる。
 本書はCSの活動を充実・発展させ、持続可能なものにするには、地域コーディネーターの存在が鍵を握るという視点で、長野県の大町市立美麻小中学校の取り組みを核に、その在り方を提案している。
 著者は同校支援コーディネーターと、中学校での校長経験のある信州大学准教授の二人。全国各地の「地域コーディネーターの教科書」として活用できる内容だ。
 地域コーディネーターに期待したい六つの「Tion」として、ファシリテーション(関係者を円滑に結ぶ)、コミュニケーション(さまざまな関係者とよく話し合う)、ロケーション(効果的な立ち位置を見極める)、アクション(多様な活動を実行する)、インフォメーション(情報発信・共有を進める)、リフレクション(振り返りを大事にする)を提示。コーディネーターの基本的役割は、学校・教員・子どもと地域住民、関係機関等のつなぎ役で、実情に合わせて時にはクッション役や潤滑油となり、より良いCSにするための支援という。
 この他、CSには「産みの苦しみ」に続き、「育ての苦労」もあると指摘。全ての関係者が前向きでも、時に活動が下火になることもあるとし、「エントロピー増大の法則」を例に、マンネリを打破し、常に変わり続ける必要性を強調している。
 発行は三恵社で定価は1574円(税別)。

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