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Q&Aでわかる 子どものネット依存とゲーム障害

12面記事

書評

樋口 進 著
第一人者が予防と対処法を指南

 ゲーム依存いわゆるオンラインゲーム依存への対応に苦慮している人々は国内に限らず海外も深刻だ。脳の機能障害も確認され、医療行為でないと抜け出せない薬物依存者並みになっているという。著者は名実共に第一人者である久里浜医療センターの樋口進先生である。去年の夏、ゲーム依存予防プログラムのスタッフとして学生が参加した。「最初からゲームにはまった子どもはいない。他の楽しみがなかったことに要因があった」と切実に伝えてきた。
 本書の特徴は、初歩から予防、対処、問い合わせ先まで、知りたい内容が全てコンパクトにまとめられ、ある意味、これまで曖昧だった事や知ってはいたけど間違って理解していた事柄が分かりやすく書かれている。膨大な臨床と研究から紡ぎ出された導入書であるため、教師も保護者も、そして当事者の子どもも、正しい認識のために早めに読まれて、やれるところから実践されることをお勧めしたい。見開きで左に質問が、右に先生の回答が書かれている。直接診断を受けている感がある。最後には医療機関の紹介も付されていてありがたい。
 構成は、5章で、スマホなどによるネット依存の基礎知識、保護者支援とその対応、ネット依存から脱出するために、受診から治療まで、ネット依存の予防はスマホ対策から始めよう―となっている。興味のあるところから読むのではなく、最初から丁寧に読むことをお勧めしたい。
(1760円 少年写真新聞社)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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