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コロナ時代に考えたい学校問題【第78回】

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コミュニケーション力とは

 先日、コミュニケーション力がキャリア教育では重要であるという渾身の授業を参観した。そこでふと感じたのは、他と共鳴し、受容し、理解する大切さである。すなわち相互の落としどころを探るのである。しかし、これに慣れると相手を気遣いすぎて、独自性は見えなくなっていくように感じられた。突出した考えや行動は、コミュニケーションを保ちながらも、維持させうるだろうかと感じられたのである。
 現在の企業が求めるコミュニケーション力と、自主性や創造力はまるっきり別物のように思える。自主性や創造力は、個々において示されるものであり、コミュニケーション力は、組織として求めるものである。よって、同じ土俵には乗らないものと私は立て分けている。
 相手を納得させる力は、プレゼン力でもあるが、その人自身が信頼に足る行動をし続けているかを見定める方が、より確かではないだろうか。コミュニケーション力とは決してその獲得が目的となるものではなく、手段を越えるものではない。極論ではあるが、お年寄りを騙す人は、コミュニケーション力に優れているが、その悪質な行為は人として最低の許せざる犯罪である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題