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コロナ時代に考えたい学校問題【第185回】

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いじめと自殺、第三者委員会の見解に監視を

 学校側はいじめ認めず、青森―。高2自殺で見解が第三者委員会から示された。いじめの事実は認めても、それは一要因ではあるが、いじめによる自殺とは言えないとしている。
 千葉県野田市の第三者委員会も先般、似た結論を出している。確かにそうかもしれないが、こうした煙に巻くような回答が今後増えていくように感じられる。
 この回答に遺族は納得しないが、他の要因をクローズアップすることにより、焦点が分散していく。それぞれの調査などの多くの要素が必要になり、膨大な時間をかけなければならなくなる。それにより諦めのスパイラルが繰り返され、結果として遺族を諦めへと合法的に向かわせることになるように思えてならない。これにも現行法の壁があることが分かる。
 明らかにいじめが原因と分かっていても、そうでないようにもっていくには、一因としては認めて、それが主要因とは言えないように論点を拡散することで、それ以上の詮索をさせないようにするのである。
 心理面と法の限界を巧妙に組み合わせた悪意のある手法ではないだろうか。遺族は不服として再調査を希望するだろうが、一度出した結論を覆すハードルは極めて高い。第三者委員会のメンバーの中にはその事を承知しながら、後ろめたさを墓場まで持っていく委員もいるように私には思える。この回答スタイルが流行していかないよう監視していなければならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題