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コロナ時代に考えたい学校問題【第136回】

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35人学級実現へ

 小学校35人学級の実現に向けた予算措置がやっと進もうとしている。しかしながら中学校は対象にはならなかった。鈴木寛・元文部科学副大臣の記事を読むと、行政の人事担当なら経緯が手に取るように分かるだろう。萩生田文科大臣の孤軍奮闘と財務省との闘いで、よくぞそこまで切り込んだと評している。
 頂けないのが文科省の戦略の甘さである。刀を抜いても竹刀では話にならない。私がこれまで何度も指摘するように、教師に人材の確保をせねば、国がつぶれる。定数の縛りがあって、臨時的任用や非常勤ばかりを当て正規職員の枠を増やさないのだから、何処かの企業のようにアルバイト、パートで急場を凌いでいたら、それでやれるのならそれでやってください、となる。
 こうした財務省の考えに誰も切り込まない。切り込まなかったところを萩生田大臣は身をもって切り込んで、35人を得たことになる。勿論30人以下を強調したが、戦法を間違えて少人数学級と少人数指導を混合されてトーンは一気に財務省に落とされてしまった事になる。人材の確保を表に出さず、数合わせに持ち込まれた事になる。
 財務省が「数のプロ」であるなら、文科省は「人づくり」のプロである。この視点を強調出来ないようでは、学校現場は救われない。次の定数の見直しまで何年かかるか分からないが、今回の勝負は、打率2割5分で、走塁アウトと言うところではないだろうか。それにしても快挙には間違いがない。定数担当を経験したものなら理解が出来ると思う。
 それを、外野から批判ばかりして大衆を陽動し、私利を得る教育評論家に乗せられてはならない。定数担当は、どの地域でも寝る間も惜しんで、日々財務や財政と闘っていることを理解すべきである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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