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コロナ時代に考えたい学校問題【第146回】

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校長の管理責任を問うのなら

 一部の教員の不祥事が止まらない。ここにはシステムの不具合がある。個人情報やパワハラ等が騒がれ始めてから、急速に、「繋がり」が希薄化していったように思える。
 校長として職員が不祥事を起こすと管理責任が問われて処分される。職員の勤務外であっても管理しろと言うのなら、個人情報保護が徹底している中、何を聞くことが出来るのだろうか。
 結婚も家族も身体も履歴書に書いてあるだけでは、分からない。個人情報とパワハラを盾にして主張されたら、何も聞けない。

 以前、海外の日本人学校へ行きたいと希望した教員がいた。経験年数が不足して志願が出来なかった。その後、母親の看病の為に近くの学校へ異動したいと申し出てきた。様々に手を尽くし、希望通りの学校へ異動させた。するとその年に再度日本人学校を希望したらしく三年間を海外で暮らしていたことを知らされた。
 こうした本人からの申し出に対して、本来ならばひとつひとつを確認したいのだが、それをさせないのが個人情報保護とハラスメントである。虚偽の有無を確かめられないし、「それは本当ですか?」と質問した場合、「疑われた。ハラスメントだ」と騒がれかねない。よって、言われるままに認める事になる。
 それが虚偽で問題化した場合は、校長も処分をされるのだから理不尽極まりない。こうした現実を知って責任だけ取らされる校長に誰がなりたいと思うだろうか。
 不祥事を未然に防ぐのならば、組織上必要な事を明記して、その確認を保証するような仕組みが必要である。判断材料として聞かねばならない事を聞いて、トラブルになった場合、誰が支援してくれるのか。
 指導力不足教員の研修に出される教員がいるが、実際はその数十倍存在しているだろう。ある時、校長は何で指導力不足教員をすべて研修に出せないのだろうと県の幹部が声高に話した。私は、トラブルが起きた時には教委は支援する体制が出来ているのか、と問い返した。「誰だあいつは?」と、廊下から不満げな声が聞こえた。「あの人が、私達の先輩の大久保さんですよ」と付き添いが説明をしていた。可笑しくなった。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題