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社会科ワークショップ 自立した学び手を育てる教え方・学び方

14面記事

書評

冨田 明広・西田 雅史・吉田 新一郎 著
「脱暗記」の実践で変わる子ども

 子どもたちにとって、社会科は暗記教科と受け止められる場合が多い。高学年ならなおさら、都道府県名、歴史事象の年代、人物名等、覚えるだけで手いっぱいだ。教員も同様故に、本書の著者同様、社会科嫌いにもなろう。
 ところが著者は、「ワークショップ」(主体的な参加が可能な体験型グループ学習の形態)を知って一変した。本書はそんな現場教師の実践報告だ。
 大きな特徴が三つある。まず、ワークショップを進める手順が子どもたちのグループ学習でのやりとり、授業記録等を通して赤裸々に示されることだ。失敗もある。気付きもある。自らの実践と突き合わせて読み進めると、より理解が深まろう。
 次に、実践例を通した解説が分かりやすいことだ。ミニ・レッスン→探究→共有といった流れに沿って、事例や表を示しながらの解説は的を射ている。
 特に4章は本書で使われている用語等について解説しており、理解を助ける必読のページだ。
 最後に、学習によって子どもたちがどう変わっていくかに触れていることだ。「○月の子どもの姿」を提示するというユニークな発想に驚かされる。
 巻末には、実際に使用した年間計画・資料等も添付されており、すぐにでも使える。暗記教科とも、おさらばできそうだ。
(2640円 新評論)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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