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一刀両断 実践者の視点から【第140回】

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論説・コラム

「緩和国」を個々の内面に

 ロシアは悪、ウクライナは善と考えるように世の中は動いている。動いているように仕組まれているとしたらどうだろうか。
 暴力や戦争は許されることではないが、その背景を一面から見ると、見せられると全てをその色で見てしまう傾向が強くなる。ロシア料理の店への被害が報告されている。本来は関係のない人々までも同類として攻撃を与えてしまう愚かさが繰り返されている。
 自国で戦争に反対する事の恐ろしさを私たち日本人は知っているが、他国となると忘れてしまうようだ。国が悪いのではないが、その国の指導者を国民が選んだ事は間違いない。
 ある識者が違う視点から今回の出来事を指摘していた。約束を反故にして脅威を与えたから今回の侵略に踏み切ったと根拠を上げて説明をしていた。確かにその経緯を知るとこれまでの見方を変化させねばならなくなる。
 嫌がらせや約束の不履行を重ねてきた事実が真実ならば暴挙だけでは収められはしない。求めるのは緩和国という中立の性格を持つ存在だという識者もいる。
 それにしても倫理観や道徳も、戦争という人殺しが正義にされてしまう事実を教育でしっかりと教えねばならないのである。
 家庭とは「家」に「庭」を前提にしているが、今は、庭がない家が多くなっている事からすると、緩和とは中立、中道、寛容を倫理や道徳を基盤として個々の内面に創るべきものなのでしょう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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