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授業での実験機会を増やす「理科実験用ガスコンロ」

8面記事

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「理科実験用ガスコンロ」で実験する様子

体験なくして実感を伴った理解にはならない
東京都立小石川中等教育学校

 東京都小石川中等教育学校は文科省のSSH指定校として、6年間を貫く高度な理数系カリキュラムと課題研究により、国際社会でリーダーとして活躍できる科学的人材の育成を目指している。理科教育では、各分野の特性に合わせて多くの観察・実験を行い、本物から学ぶことを大切にしているのが特徴だ。
 現在、中1と高2の化学を担当する小原洋平教諭も「知識を教える授業から、能力を活用させる授業へと変わりつつある。そのためには、生徒自らに体験させる、手を動かし考えさせることが必要不可欠である」と語る。事実、化学の授業において実験をしない日はないといってもよく、特に中1では半数近くの授業で行う加熱実験において「理科実験用ガスコンロ」を活用しているという。
 「一番の長所は利便性で、理科室がふさがっている場合でも教室で実験を見せられること。また、最近は1人1台タブレットが導入され、実験の様子を写真や動画で撮ったり、結果を入力したりする機会が増えてきているため、火気の準備に時間を取られないことも大きい」と口にする。
 すなわち、限られた授業時間の中でやりくりする教師にとっては、操作が複雑で火をつけるまでに時間がかかるガスバーナーよりも、手間なくスピーディーに加熱できる器具の方が助かるのだ。


小原洋平教諭

加熱はもちろん、湯煎にも使える使い勝手を評価
 そんな「理科実験用ガスコンロ」は、理科室における実験では班ごと4人に1台を基本に活用している。機能的には操作が簡単で、生徒が安心感をもって使用できることを強調する。ワンタッチ点火でマッチなどの点火器具が不要であり、3段階の火力調節目安が設けられているので、ガスバーナーよりも火力の調整がしやすい。しかも、家庭用とは異なり一点加熱が可能な火口になっているため、ガラス細工も行えるくらい高温で加熱できる魅力もある。
 「たとえば、無機物と有機物の違いを知るために食塩や砂糖を加熱するときも、実験用ガスコンロの方が火の当たる範囲が広いので実験結果が均一になる。再結晶の実験では、最初にポットでお湯を沸かし、それを保温する目的での簡易的な使い方もできるなど使い勝手もいい」と評価する。
 また、もう一つの特徴といえる四脚の網台が付属していることで、ビーカーなどを安定して設置できる。多くの生徒が手に触れる実験中の安全を確保する上では、これも大事な要素だ。このように、実験用ガスコンロによって操作が簡略化、安全化することで、実験の機会が増えることが期待できる。

中学・高校でも使い分ける環境を
 「理科実験用ガスコンロ」は教科書で加熱器具として推奨されたことから、小学校ではアルコールランプに代わって使われるようになっている。だが、多くの中学や高校では依然としてガスバーナーが主流になっている。それについて聞くと「有機合成など火力の微調整が必要な実験にはガスバーナーが有効であるため、正しい扱い方などを身に付ける必要がある。ただし、主体的な学びに向けて授業での実験機会を増やすことを考えると、実験用ガスコンロの方が効率的で使いやすい。したがって、中学・高校でも実験の目的や用途によって使い分けできるようにしていく必要があるのでは」と期待した。
 なお、一般社団法人日本ガス石油機器工業会では、「カセットこんろ」の安全で正しい使い方を学べるDVD教材を作成し、全国の学校に無料配布している。

問い合わせ=03・6811・7370 https://www.jgka.or.jp/

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