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中学校教員の勤務時間 前回より改善も3回連続最長 OECD調査

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 経済協力開発機構(OECD)は7日、教員の勤務環境などについて調べる「国際教員指導環境調査」(TALIS)2024の結果を公表した。1週間あたりの勤務時間は前回調査時より約4時間減少したが、日本は2013年の初参加以降、中学校では3回連続で参加国中最長となった。また、保護者対応や事務作業にストレスを感じている割合が前回よりも増えるなど、働き方改革の必要性が改めて示された。
 調査は2008年から約5年に1度行われ、2024年で4回目。主に中学校の状況について調べており、前回の2018年調査からは小学校も加えた。
 今回は中学校段階の調査に55の国・地域が参加(小学校については16の国・地域)。国内では2~3月、小・中学校それぞれ約200校の校長と教員計7316人が回答した。
 日本の教員の1週間の勤務時間は小学校52・1時間、中学校55・1時間で、前回の調査から小・中学校どちらも4・0時間の減少となった。一方、参加国の平均と比べて小学校では約12時間、中学校は約14時間長かった。
 仕事時間のうち、授業の時間は小学校23・2時間、中学校17・8時間で、どちらも平均よりも短かった。
 授業以外の仕事では、事務作業や課外活動の時間が参加国の平均より特に長かった。事務作業は小・中学校ともに2時間程度長く、課外活動は中学校で平均の3倍を超える時間を費やしていた。教員としての技能や知識、専門性を高めるための「専門的な学習」の時間は、前回より小学校で約2・7倍、中学校で約3・7倍に増えていた。
 教員が抱えるストレスの状況も調べた。ストレスの要因として「事務作業」を挙げる回答が小・中学校ともに最も多く6割を超えた。次いで多かったのは「保護者対応」で、小学校で58・7%、中学校で56・4%と、どちらも前回より10ポイント以上増加した。
 また今回、ストレス要因として「欠勤による追加業務」の割合が大幅に増加。前回は小・中学校ともに2割弱だったが、どちらも4割を超えた。別の質問で教員が不足していると感じると答えた校長の割合は小学校で2倍以上に増えているなど、学校現場での教員不足の状況が浮かび上がった。
 一方、デジタル機器を活用した指導ができていると肯定的に回答した割合は、前回調査より約10ポイント増加した。小学校は48・0%、中学校では45・9%だった。1人1台端末の配備で教員の端末活用が進んだことが背景にあるとみられる。

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