非認知能力の強化書
18面記事
中山 芳一 著
10代向け 鍛え方を平易に解説
坂口志文さんと北川進さんのノーベル賞受賞決定というニュースは、日本中を笑顔にした。二人の座右の銘は、それぞれ「運・鈍・根」、「疾風知勁草」だという。共通するのは、「信念」を持ち、あきらめず根気よく研究を続けたことや学生の面倒見のよさなど、いわゆる「非認知能力」の高さだ。
本書は、今注目されている「非認知能力」について中高生など10代の人に分かるように解説したもの。著者は「非認知能力」を、「同じものさしを使った点数や数値で測定・評価できない力」と定義。そして非認知能力を、
(1)自分と向き合う力
(2)自分を高める力
(3)他者とつながる力
―の三つの枠組みに整理して示している。
そして、これからの時代は、「AIにできないことを人間の役割として自覚して、その役割に必要な力を身に付け、発揮していくこと」が大事だとし、非認知能力を鍛えようと、「自分の『気質』を知っていますか?」「価値観・信念を持っていますか?」と問い掛けていく。
思春期は自分探しのとき。意識が変われば行動が変わり、習慣が変わり、人格が変わる。「自分自身のモニタリングとコントロール」などに取り組んでほしい。
用語をかみ砕き、イラストも多用していて分かりやすい。人生で遭遇する「偶然を味方に付ける」ために、大人も、好奇心、楽観性、冒険心、柔軟性、持続性など非認知能力を鍛えていきたい。
(1980円 東京書籍)
(正)


